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キックハート
| 放送年 | 2013年 |
|---|---|
| フォーマット | 劇場版 |
| 話数 | 1話 |
| 制作 | Production I.G |
ロメオは成功したプロレスラーで、ジュリエットは修道女の傍ら秘密でプロレスラーとして活動している。ロメオはリングでの打撃を楽しみ、ジュリエットは試合で対戦相手と向き合う時に活力を感じる。二人がリングで出会った時、火花が散る。プロレスの華やかな世界を舞台に展開するラブストーリー。
作品概要・あらすじ
あらすじ
成功を収めたプロレスラーのロメオは、リングで打撃を受けることに喜びを見出す変わり種。一方、修道女として慎ましく生きるジュリエットは、秘密裏にプロレスラーとして活動しており、対戦相手と向き合う瞬間に生きがいを感じていた。ある日、二人はリング上で激突し、互いの内に眠る特別な感情を呼び起こす。プロレスの熱狂的な舞台を背景に、異色の出会いから芽生えるラブストーリーが展開する。みどころ・魅力
① クラウドファンディング発の異色プロジェクト
本作はKickstarterで資金を集めた日本初の商業アニメ映画として注目を集めた作品。Production I.G制作のもと、湯浅政明監督が手がけており、インディペンデント精神と商業クオリティが融合した珍しいタイトルとして、アニメ史上でも特異な立ち位置を持つ。② 湯浅政明監督ならではの躍動する映像表現
『夜明け告げるルーのうた』『映像研には手を出すな!』でも知られる湯浅政明監督が独自のアートスタイルを遺憾なく発揮。プロレスの激しい動きをアニメーションならではの誇張と躍動感で描き、視覚的なインパクトが非常に強い仕上がりとなっている。③ プロレス×ラブコメという奇抜な組み合わせ
修道女とプロレスラーという相反する属性を持つヒロインと、痛みを愛するプロレスラーの主人公。この一風変わったキャラクター設定が生み出すラブコメディは、わずか13分の尺に凝縮されており、短編ならではのテンポの良さが魅力。キャスト・声優一覧






















スタッフ
| 監督 | 湯浅政明 |
|---|---|
| キャラクターデザイン | 三原三千夫 |
| 音楽 | オオルタイチ |
| 音響監督 | オオルタイチ |
トレーラー・MV
▲ 公式トレーラー(公式YouTube)
感想・評価
最初に見たとき——第一印象と、見ることになったわけ
湯浅政明の短編というだけでTSUTAYAに走った。配信がないのは残念だが、まあ仕方ない。プロレスとラブコメと修道女が13分に全部入りになっているというあらすじを読んで「何それ」と思ったのは正直なところで、それが完全に正しい反応だったと今は思う。
再生してすぐ気づいたのは、湯浅アニメーションとプロレスの相性の異様なよさだった。あのグニャリと伸びて崩れる輪郭線が、リングの上の肉体のぶつかり合いと噛み合いすぎている。2回目に見たとき、ロメオが打撃を受けるたびの顔の作画だけで時間を使ってしまった。短編なのに、止めどころがいくつもある。
傷をもらうことで初めて人を見る人間の、プロレス的ラブストーリー
この作品を単純なラブコメと呼ぶのは難しい。ロメオは打たれることに純粋な充実感を見出す成功したレスラーで、ジュリエットは修道女の顔を持ちながらリングの上でだけ本性をさらす女性だ。普通の意味でのコミュニケーションが成立しない二人が、拳とボディスラムを通じて互いを認識していくという構造になっている。
面白いのは、これが「変な人間」の話として描かれていながら、一切哀れに見えないことだ。ロメオの痛がり方も、ジュリエットの二重生活も、どこかしら誇り高い。湯浅政明の作品全体に通じる「外から見たら変でも、本人にとっては真剣」という視線が、ここでも機能している。
修道女というモチーフも安易ではない。ジュリエットが礼拝堂とリングの間を往復する姿は、「社会的な役割」と「本来の衝動」の分裂として機能しつつ、最終的にはリングの上にいる自分こそが正直な姿だということを静かに示している。ロメオと出会うのは、どちらもその「正直な場所」にいるときだ。だからあの出会いは成立するし、嘘がない。
痛みは通常、避けるべきものとして描かれる。この作品はそれをひっくり返す。痛みをもらうことで初めて相手の存在を実感できる人間がいて、痛みを与えることで初めて活力を感じる人間がいる。その二人が出会ったという話を、13分に一切の無駄なく詰めている。説明も伏線回収もなく、ただリングの上の時間だけがある。その潔さが、何度見ても残る。
特に刺さったシーン
鈴木達央と本田貴子、二人の声がリングの上で交錯する場面の密度が好きだ。プロレスの打撃音と掛け声の中に、言語化されない感情が滲んでいて、何度聞いてもそこだけ空気が変わる感じがある。特に鈴木達央の、あの「快楽と苦痛が区別できなくなっている声」は声優でしかできない表現で、最初に聞いたときは笑いながらも「これは本気でやっている」と思った。
それから、ロメオが初めてジュリエットを認識する瞬間の作画。顔が一瞬溶けるような動きで、言葉より先に状態を見せてくれる。初見では笑ったし、2回目では「ああ、これが核心だ」と気づいた。湯浅アニメーションの崩れ方が感情の正直さに直結している瞬間で、整った作画では絶対に表現できない類のものだ。
高木渉と甲斐田裕子の脇の固め方も、短い尺の中で世界のスケール感を広げている。二人だけの閉じた話になるところを、周囲の声と演技が「リングの外にもちゃんと世界がある」と感じさせてくれる。それがあるから、ラストの着地がひとりよがりにならない。
読んで見たくなったら——サブスク配信はなし。TSUTAYA DISCASの30日間無料トライアルでレンタル代ゼロで見れる。
この作品が刺さる人・合わない人
刺さる人
- 湯浅政明作品を追いかけているアニメファン
- プロレスの様式美と悲喜劇性が好きな人
- 「13分で完結する密度の高い短編」を探している人
- 変人同士のラブストーリーに弱い人
- 説明より映像と声で語る作品が好きな人
合わない人
- ストーリーの起承転結を明確に求める人(13分にすべてが圧縮されている)
- 湯浅アニメーションの崩れた作画スタイルが苦手な人
- プロレス描写の直接的な暴力性が気になる人
- ロマンスにセリフでの感情表現を求める人
次に見るなら
同じ湯浅政明作品なら夜は短し歩けよ乙女を先に見ておきたい。森見登美彦原作のシュールなユーモアと湯浅アニメーションの融合を長編で堪能でき、「変な人間が全力で生きている」という湯浅作品の核心が90分かけて展開される。キックハートで感じた空気が好きなら間違いなく合う。
スポーツを通じて人間の本性を描く方向ならピンポン THE ANIMATIONもおすすめだ。こちらも湯浅政明監督で、卓球というスポーツを通じて「才能と情熱とアイデンティティ」を描く。キックハートが13分でやったことを、11話かけてじっくり展開している感覚がある。
クラウドファンディング発の実験的な短編アニメという文脈で掘り下げるなら、陽なたのアオシグレ(新海誠の非商業短編ではないが、同種の「短くて密度が高い」体験を求めるなら)のような作品群を当たってみるのも手だ。「13分でここまでやれる」という体験は、短編という形式への興味を確実に広げてくれる。
配信・視聴情報
| サービス | 配信 | 月額 | 無料期間 | 作品数 |
|---|---|---|---|---|
| ABEMAプレミアムイチオシ | × | ¥680〜(税込) | 無料あり | 1,000+ |
| Amazonプライムビデオ | — | ¥600(税込) | 30日間 | 1,700+ |
| クランクイン!ビデオ穴場 | × | ¥990〜(税込) | 最大1ヶ月 | 7,000+ |
| dアニメストア | × | ¥660(税込) | 31日間 | 7,200+ |
| U-NEXT | × | ¥2,189(税込) | 31日間 | 6,000+ |
| DMM TV | × | ¥550(税込) | 14日間 | 6,300+ |
| Netflix | — | ¥890〜(税込) | なし | 1,600+ |
| Hulu | — | ¥1,026(税込) | なし | 2,900+ |
| Disney+ | — | ¥1,250〜(税込) | なし | 500+ |
よくある質問
まとめ
現在、キックハートは主要な動画配信サービスでの配信が確認されていません。視聴を検討される場合は、BDやDVD等のパッケージ版をご確認いただくのが確実です。湯浅政明監督ファンや短編アニメに興味がある方はぜひチェックしてみてください。
