※本ページはアフィリエイト広告を含みます。

手塚治虫の旧約聖書物語 In The Beginning
| 放送年 | 1997年 |
|---|---|
| フォーマット | TVアニメ |
| 話数 | 26話 |
| 原作 | その他 |
| 制作 | Tezuka Productions |
イタリア国営放送がバチカンからの強い要望を手塚治虫に伝えた。それは聖書をアニメ化してほしいという内容で、非キリスト教信者である手塚治虫がどのように聖書を描くのかを見たいという目的があったと思われる。手塚治虫はこの要望を受け入れ、2年間をかけてパイロット版を完成させた。ノアの方舟の物語を描いた作品で、熱心な支持を受けた。
作品概要・あらすじ
あらすじ
イタリア国営放送を通じたバチカンの要望により、手塚治虫が旧約聖書をアニメ化したテレビシリーズ。ノアの方舟をはじめとする旧約聖書の物語を、非キリスト教信者である手塚が独自の視点と2年間の制作期間を経て映像化した意欲作。天地創造からノアの大洪水まで、聖書の壮大な物語を日本アニメの表現で描き出す。みどころ・魅力
① 手塚治虫が描く”非キリスト教徒の聖書解釈”
宗教的な枠組みに縛られない外側の視点から旧約聖書を描いた点が本作の核心。バチカン自らが「異なる文化の目で見た聖書を知りたい」と要望したことが制作の発端であり、手塚ならではの人間ドラマとしての解釈が随所に滲み出る。② 壮大なスケールで描かれるノアの方舟
天地創造から大洪水に至る旧約聖書の物語を、テレビアニメとして丁寧に映像化。神と人間の関係、罪と救済といった普遍的テーマを、アニメならではのダイナミックな演出で視覚的に体験できる。③ 国際共同制作が生んだスケール感
イタリア国営放送との国際共同制作として制作されており、世界に向けて発信されることを意識したクオリティが特徴。手塚プロダクションが2年をかけて仕上げたパイロット版から始まった本格的な意欲作として、アニメ史上でも異色の存在感を放つ。キャスト・声優一覧
























スタッフ
| 監督 | 出﨑統 |
|---|---|
| シリーズ構成 | 手塚治虫 |
| キャラクターデザイン | 手塚治虫、瀬谷新二 |
| 音楽 | 服部克久 |
| 美術監督 | 岡田和夫、斉藤雅巳 |
| 音響監督 | 小林克良 |
| OP | レイミー「Rainbow Blue」 |
| ED | 堀川麗美「Rainbow Blue」 |
OP・ED
OP
ED
感想・評価
最初に見たとき——第一印象と、見ることになったわけ
手塚治虫が聖書をアニメ化していた、という事実をどこかで見かけて、半信半疑でdアニメストアを検索したのが最初だった。1997年の作品がこんなところに転がっていることへの驚きと、「なぜ手塚治虫が?」という疑問が頭を離れなかった。イタリア国営放送経由でバチカンからのオーダーを受けた、という成立背景を後から知って、さらに混乱した。
最初に見たときは、どうしても「異文化アダプテーション」という色眼鏡で眺めてしまった。非キリスト教徒が旧約聖書を描く——そこに期待していたのは、いい意味での「ズレ」や「異物感」だったかもしれない。ところが実際に見始めると、その下馬評じみた先入観ごと吹き飛ばされる。手塚治虫の目線は宗教的権威への敬意でも批評でもなく、もっとシンプルに「人間の話」として聖書に向き合っていた。2回目に見たとき気づいたのは、登場する人物たちの業の深さが、どの宗教的文脈にも依存せずに成立しているということだった。
罰せられながらも愛される存在として、人間を描くということ
この作品を単なる「聖書のアニメ化」として見ると、本質を見誤る。手塚治虫がやっていたのは、もっと根の深いことだった。
旧約聖書のノアの箱舟という題材には、人類の罪と神の裁きという非常に重い構造が存在する。普通ならば、そこで「神の視点」か「敬虔な信者の視点」を取るところだろう。ところが手塚版はそうならない。描かれるのは、欲望にまみれ、嫉妬し、裏切り、それでも生き延びようとする人間の姿だ。神の意志は背景にあるが、物語の主役は飽くまで「理由なく罰せられていないかもしれない、でも理由なく選ばれてもいない」人間たちである。
非キリスト教徒である手塚治虫の目線が、ここで独特の機能を果たす。信仰の外側から聖書を見ているからこそ、「なぜこの人間たちはこう動くのか」を教義ではなく人間ドラマとして読み解いている。ノアが選ばれた理由への疑問、滅びゆく人々に向けた視線、箱舟という閉鎖空間でのコンフリクト——これらは宗教的解釈というより、人間の不条理を描き続けてきた手塚の作家性そのものだ。
手塚治虫がジャングル大帝でもブラック・ジャックでも繰り返し問い続けたのは、「善悪の基準が揺らいだとき、人間はどこへ向かうか」だった。旧約聖書という素材は、その問いに対して史上最大スケールの実験場を提供した。生き残る者と死ぬ者の間に明確な道徳的差異はあったのか——この問いを宗教的に解決せず、ただ人間の業として提示しているところが、この作品が1997年の「子供向けアニメ」という枠を超えている理由だと思う。
特に刺さったシーン
田中真弓が声を当てているキツネのキャラクターが出てくる場面は、ちょっと独特の空気がある。田中真弓といえばルフィやクロノのイメージが強い人も多いと思うが、このキツネ役では飄々とした軽さの中に、どこか飄々とした孤独感が滲む演技をしていて、正直最初は気づかなかった。2回目に改めて聴くと、そのトーンの選択が作品全体の「人間でも神でもない目撃者」という位置づけに合っていると気づく。
それよりも個人的に長く残ったのは、洪水が始まる直前の群衆の描写だった。滅びると分かっていても逃げ場がなく、それでも何かにしがみつこうとする人たちの表情——ここは手塚治虫の絵の力が全面に出る。セリフより画で語るという選択が、宗教的な説明をすべて省いて、ただ「恐怖と諦念の間で立っている人間」を見せる。終盤、箱舟の中から外を見る人物の視点カットも、何かを切り捨てた後の静けさがあって、見るたびに違う感想になる。
読んで見たくなったら——『手塚治虫の旧約聖書物語 In The Beginning』はdアニメストアで視聴できる(31日間無料)。
この作品が刺さる人・合わない人
刺さる人
- 手塚治虫の作家性を別ジャンルで確認したい人
- 宗教的文脈を問わず「人間の業」を描いたドラマが好きな人
- 1990年代の劇場品質に近いTVアニメの作画を楽しめる人
- 「成立背景が奇妙な作品」を掘るのが趣味の人
合わない人
- テンポの速いアクションや感情の起伏を求めて見る人
- 宗教テーマに対して強いアレルギーがある人(内容は布教ではないが、題材は聖書そのもの)
- 「手塚治虫らしい」ヒューマニズム的着地点を期待して見ると肩透かしになることがある
次に見るなら
火の鳥(OVA・1986年)——手塚治虫が「生と死と輪廻」を直球で描いた代表作。旧約聖書物語と同様に、神話・宗教的スケールを人間ドラマに落とし込む手塚の構造が共通している。こちらの方がキャラクターへの感情移入はしやすい。
アリオン(映画・1986年)——ギリシャ神話を原作にした安彦良和の作品。「非信者が神話を描く」という意味で構造が近く、神々の都合に振り回される人間の悲しみという核心テーマが重なる。作画のスタイルも好みが近い人が多いはず。
ベルサイユのばら(TVアニメ・1979年)——聖書とは違うが、「歴史的・宗教的に重い素材を少女マンガ的情念で描く」という意味での近さがある。田中真弓出演作という観点からも、キャリアの別の角度を楽しめる。
配信・視聴情報
| サービス | 配信 | 月額 | 無料期間 | 作品数 |
|---|---|---|---|---|
| ABEMAプレミアムイチオシ | × | ¥680〜(税込) | 無料あり | 1,000+ |
| Amazonプライムビデオ | — | ¥600(税込) | 30日間 | 1,700+ |
| クランクイン!ビデオ穴場 | × | ¥990〜(税込) | 最大1ヶ月 | 7,000+ |
| dアニメストア | ¥660(税込) | 31日間 | 7,200+ | |
| U-NEXT | × | ¥2,189(税込) | 31日間 | 6,000+ |
| DMM TV | × | ¥550(税込) | 14日間 | 6,300+ |
| Netflix | — | ¥890〜(税込) | なし | 1,600+ |
| Hulu | — | ¥1,026(税込) | なし | 2,900+ |
| Disney+ | — | ¥1,250〜(税込) | なし | 500+ |
よくある質問
まとめ
『手塚治虫の旧約聖書物語 In The Beginning』は、現在dアニメストアで視聴できます。バチカンの要望から生まれたという異色の制作背景を持つ本作は、宗教・文化・アニメの交差点に位置する唯一無二の作品です。手塚治虫ファンはもちろん、聖書の物語に興味がある方にもおすすめの一作です。
