間の楔

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1992間の楔

間の楔

★ 3.1 / 5.0アクションドラマラブコメSF
放送年1992年
フォーマットOVA
話数2話
原作ライトノベル
制作AIC

惑星アモイの高度な文明社会では、スーパーコンピュータ・ジュピターが支配するタナグーラという機械都市が存在する。住民はほぼ男性のみで、髪の色によって階級が決まる。銀髪と金髪は最高位で、黒髪は最下層の「雑種」として扱われる。金髪貴族は若い少年を「ペット」として数年間飼育し、性的な目的で利用する。

目次

作品概要・あらすじ

あらすじ

遠未来の惑星アモイ。高度な文明を誇るこの星では、超高性能コンピュータ「ジュピター」が管理する機械都市・タナグーラが支配者として君臨している。住民はほぼ男性のみで構成され、髪の色が厳格な階級制度を規定する。金髪・銀髪は最上位貴族、黒髪は最下層の「雑種(モンゴレル)」として差別される社会だ。金髪貴族たちは選んだ黒髪の少年を「ペット」として囲い込む慣習を持つ。そのような世界で、金髪貴族のイアソンと雑種のリキの間に芽生えた感情が、やがて両者を取り巻く社会の秩序そのものを揺るがしていく。

みどころ・魅力

① ディストピアSFとしての世界観構築

AIが支配する未来都市、髪色による階級制度、性別偏在社会という重層的な設定は、単なる恋愛アニメを超えたSF作品としての深みを持つ。田中雅美の原作小説が持つ緻密な世界観を、OVAとして映像で体験できる点が最大の魅力のひとつだ。支配と被支配、自由と規律の対立構造が物語全体を貫いている。

② 身分差を超えた2人の関係性の緊張感

最上位貴族と最下層の雑種というあまりに大きな身分差の中で描かれるイアソンとリキの関係は、単純なロマンスにとどまらない。プライド・怒り・依存・拒絶といった複雑な感情が交錯し、どちらが支配しどちらが服従しているのかが見るにつれ曖昧になっていく。その感情の揺れが視聴者を引き込む核心となっている。

③ 1990年代BL作品の金字塔としての歴史的価値

1992年制作の本作は、日本のボーイズラブジャンルにおける記念碑的作品として現在も語り継がれている。作画・音楽・声優陣の水準の高さは時代を感じさせつつも色褪せず、後のBL・やおい作品に与えた影響は計り知れない。ジャンルの歴史を知る上でも押さえておきたい一作だ。

キャスト・声優一覧

リキ
リキ
メイン
›
関俊彦
イアソン・ミンク
イアソン・ミンク
メイン
›
塩沢兼人
キャル
キャル
サブ
›
カシワクラツトム
ラウール・アム
ラウール・アム
サブ
›
速水奨
カッツェ
カッツェ
サブ
›
田中秀幸
サブ
›
千葉繁
ガイ
ガイ
サブ
›
辻谷耕史
キリエ
キリエ
サブ
›
中原茂
サブ
›
堀秀行

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スタッフ

原案キャラデザ道原かつみ
キャラクターデザイン恩田尚之
音楽本間昭光、大平勉、矢吹俊郎
美術監督南郷洋一
音響監督岩浪美和
OP関俊彦「Midnight Illusion」
EDIshihara Shin’ichi「Eternal」

トレーラー・MV

▲ 公式トレーラー(公式YouTube)

感想・評価

最初に見たとき——第一印象と、見ることになったわけ

最初の壁は配信がないことだった。dアニメもU-NEXTもABEMAも全滅で、TSUTAYAの宅配レンタルかAmazonでDVDを手配するかの二択。この時点でかなりの人が脱落するだろうと思いながら、それでも手配したのは速水奨と関俊彦が同じ作品に揃っているという一点に尽きる。ある世代にとって、これは足を動かすには十分な理由だ。

なお「間の楔」にはこの1992年版OVAのほかに2012年版のリメイクOVAも存在する。声優陣・作画・テンポが大きく異なるので、手配前にどちらの版かを確認しておく必要がある。ここで扱うのは1992年版だ。TVシリーズは存在しない——このOVAが、栗本薫の原作小説をアニメ化した最初の作品になる。

届いたディスクを再生して最初に感じたのは、世界観の説明密度の高さだった。惑星アモイ、タナグーラ、ジュピター、髪色による階級制度——SFの地図を丁寧に広げながら物語が始まる。序盤はその密度に乗るのに少し時間がかかった。2回目に見てわかったのは、あの積み重ねが演出として機能しているということだ。設定を「知っている」前提で見ると、何でもないセリフの重さがまるで変わる。1回目と2回目で別の映画を見ている感覚があった。

所有されながら手放せないものを持ってしまった、その話

「BL」という括り方は雑だと思っている。もちろんその文脈に位置している作品ではあるが、「間の楔」が本当に描こうとしているのは、絶対的な権力差の中で人間が何を守ろうとするか、という問いに近い。

惑星アモイでは髪の色が階級を決める。金髪・銀髪の「ブロンディ」が頂点に立ち、黒髪の「雑種」は最下層に置かれる。上位貴族が若い少年を「ペット」として数年間囲う慣習は、この世界では制度化された文化として存在する。異常に見えるが、作品はそれを「この世界ではそういうものだ」として静かに提示する。この冷静さが、かえって不気味に機能している。

リキは黒髪の雑種で、誇りと意地だけで生きてきたスラムの住人だ。ペットに選ばれることは屈辱であり、しかし逃れられない。関俊彦のリキには、その矛盾が染み込んでいる。威勢のいいセリフの裏に、折れそうで折れない何かが透けて見える。あの役に関俊彦を起用した判断は、今聞いても正解だったと思う。

速水奨のラウール・アムは、権力の頂点に近い側に立つキャラクターだ。余裕と冷淡さを同居させた声が、「ペット」という関係性の非対称性を音だけで表現している。怒鳴らない、でも圧がある——あの声の使い方は、若い頃より今の方が解像度高く聴こえる。田中秀幸のカッツェは、この権力構造の中でまた別の位置に立つ人物で、「どこか人を食った」あの声質がカッツェの二面性にはまっていた。

この作品が単純な搾取の物語にならないのは、権力構造の中に「どちらも逃げられない何か」が育ってしまうからだ。所有と被所有の関係が、時間をかけて別の何かに変質していく——それを「愛」と呼ぶかどうかは、見る人に委ねられている。1992年のアニメにしては、かなり曖昧な着地点を選んでいる。その曖昧さが、30年以上経った今でも語り継がれている理由だと思う。

特に刺さったシーン

序盤のリキとガイがスラムで交わす会話に、妙な引力があった。本筋からは少し離れたところでの何気ないやりとりなのに、その後の展開を知った上で見ると重さがまるで変わる。辻谷耕史のガイの声がちょうどいい温度感を保っていたのも大きい。「熱くなりすぎず、でも軽くない」という難しいバランスを要求される役で、それが成立している。

終盤の展開は、初見では情報処理が追いつかなかった。2回目に見て、ここで全部回収されていたのかと気づく構造がある。そのシーンで関俊彦が出す声——叫んでいるわけでも泣いているわけでもないのに、どこか壊れた感じがする瞬間——は、2回目の方がずっと響いた。説明のない感情をあの声で差し込んでくる。

千葉繁が出てくるシーンは、作品全体のトーンが少し変わる感覚がある。この人の声は独特のグルーヴを持っていて、シリアスな場面でも空気に隙間を作る。それが意図的な緩急として機能していた。コアなベテラン勢が揃った座組の強さを、改めて感じる。

読んで見たくなったら——サブスク配信はなし。TSUTAYA DISCASの30日間無料トライアルでレンタル代ゼロで見れる。

この作品が刺さる人・合わない人

刺さる人

  • 1990年代アニメの画風・演出を「時代の美学」として受け取れる人
  • BLという文脈をベースにしつつ、SF的な世界構築に比重を置いた作品が好きな人
  • 速水奨・関俊彦・田中秀幸のキャリアを横断して聴いている声優ファン
  • 権力差を含む複雑な関係性を、解釈の余地がある形で描いた作品が好きな人
  • 物理メディアやレンタルを手配する手間を厭わないコアなアニメファン

合わない人

  • 配信で手軽に視聴したい人(現状、合法的な配信は一切存在しない)
  • 90年代OVA特有の作画・音声品質が気になってしまう人
  • 性的な権力構造の描写を含む作品が苦手な人
  • 感情的な決着や明快な解決を求める人

次に見るなら

権力差のある関係性の中で育つ複雑な感情、という核心が刺さったならBANANA FISHは外せない。時代も舞台も違うが、「逃げられない構造の中で守ろうとするものがある」という軸が共鳴する。2018年のMAPPA版はNetflixで見られるので、アクセスのしやすさも含めて最初の一本として強い。

SF的な階級社会と、そこで生きる個人の矜持という方向に興味が移ったなら銀河英雄伝説が選択肢に入る。方向性はまったく異なるが、「制度化された権力構造の中で個人はどう選択するか」というテーマへの接続ができる。長大な作品だが、密度に慣れた人には合う。

1990年代の退廃的なSF美学そのものに引っかかりを感じたなら、serial experiments lainを並べてみると面白い。時期も近く、機械と人間・制御と自由という問いを別の角度から突いてくる。「間の楔」の世界設定が気になった人には、次の参照点として機能する。

配信・視聴情報

サービス配信月額無料期間作品数
ABEMAプレミアムイチオシ×¥680〜(税込)無料あり1,000+
Amazonプライムビデオ—¥600(税込)30日間1,700+
クランクイン!ビデオ穴場×¥990〜(税込)最大1ヶ月7,000+
dアニメストア×¥660(税込)31日間7,200+
U-NEXT×¥2,189(税込)31日間6,000+
DMM TV×¥550(税込)14日間6,300+
Netflix—¥890〜(税込)なし1,600+
Hulu—¥1,026(税込)なし2,900+
Disney+—¥1,250〜(税込)なし500+
現時点では、『間の楔』は国内外の主要な動画配信サービスでの配信は確認されていません。視聴にはDVDなどのパッケージメディアをご利用ください。根強いファンを持つ作品のため、中古市場やオークションサイトで入手できる場合があります。

よくある質問

Q. 『間の楔』は全何話ですか?
A. 1992年版のOVAは全2話構成です。のちに2012年にリメイク版OVAが制作されており、こちらは全4話となっています。どちらも田中雅美の同名小説が原作です。
Q. 原作小説との違いはありますか?
A. OVA版は原作の膨大なストーリーをコンパクトに再構成しているため、端折られているエピソードも多いです。世界観をより深く楽しみたい方は原作小説の併読をおすすめします。
Q. 成人向けの描写はありますか?
A. 1992年版OVAは成人向けの描写を含むR18相当の作品です。視聴の際は対象年齢にご注意ください。2012年リメイク版は一般向けと成人向けの両バージョンが存在します。
Q. BL・やおいが初めてでも楽しめますか?
A. SF・ディストピア好きな方であれば、BL未経験でも世界観の魅力を十分に楽しめます。ただし成人向け描写が含まれるため、そのあたりが苦手な方は2012年の一般向けリメイク版から入るのがおすすめです。

まとめ

現時点では、『間の楔』は国内外の主要な動画配信サービスでの配信は確認されていません。視聴にはDVDなどのパッケージメディアをご利用ください。根強いファンを持つ作品のため、中古市場やオークションサイトで入手できる場合があります。

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この記事を書いた人

アニメの配信先を毎回調べているうちに、「もう自分でまとめた方が早いな」と思ってaniholicを始めました。アニメから入って、今はかなり声優ファン寄りです。Abema、dアニメ、Prime Video、Huluあたりを普段使っています。掲載情報は、できるだけ公式サイトを確認してから掲載しています。
ちなみに「aniholic」を深夜テンションで「アニ☆ホリ」と略したのですが、まさか昼に見た時こんなに恥ずかしいとは思いませんでした。今のところ修正予定はありません。

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