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モンタナ・ジョーンズ
| 放送年 | 1994年 |
|---|---|
| フォーマット | TVアニメ |
| 話数 | 52話 |
| 原作 | オリジナル |
| 制作 | Studio Junio |
ボストン、1930年。モンタナ・ジョーンズとその従兄弟のアルフレッド教授は、失われた宝物を探して世界中を旅し、博物館に寄贈する。アルフレッドの恩師ジェリット教授は情報をLPで送って二人をサポートする。ある旅で、ほぼすべての言語を話す富豪の記者メリッサに出会い、彼女が旅に同行する。彼らの対抗者は、富豪で奇想天外なロード・ゼロである。
作品概要・あらすじ
キャスト・声優一覧
























スタッフ
| キャラクターデザイン | |
|---|---|
| OP | THE ALFEE「冒険者たち」 |
| ED | THE ALFEE「エルドラド」 |
トレーラー・MV
▲ 公式トレーラー(公式YouTube)
OP・ED
OP
ED
感想・評価
最初に見たとき——第一印象と、見ることになったわけ
タイトルだけ見て「インディ・ジョーンズのパクリじゃん」と思った人間は全員手を挙げてほしい。挙げた。そのまま何年も放置していた作品だ。
実際に見始めたのは「1994年のアニメ」という縛りで古いものを掘っていたときで、正直なめてかかっていた。子ども向けの冒険もの、30分で綺麗にまとまって、宝物が見つかってめでたしめでたし——そういう認識。ところが、大塚明夫の声でモンタナが喋りだした瞬間、画面の前で少しだけ姿勢が正された。このひとの声には、どんなに軽い役でも「重力」がある。
2回目に見たとき気づいたのは、1930年代という時代設定の作り込み方だった。冒険活劇のパッケージに収まりながら、世界恐慌の影とか、帝国主義の残滓みたいなものがさりげなく滲んでいる。子ども向けとして作られているのは間違いないが、「子ども向けだから薄い」という等式が成り立たない時代の作品、という感じ。
「正しい場所に返す」という行為が、この作品のすべてだ
モンタナとアルフレッドがやっていることは、要するに「拾得物を届ける」だ。宝を見つけて、博物館に寄贈する。金にならないし、名声も限定的。それでも二人は世界中を飛び回る。
この動機の設定が、今見ると妙に刺さる。ロード・ゼロのような奇矯な富豪が「所有」を目的として宝を追うのに対し、モンタナたちの目的は「返却」だ。文化財を、あるべき場所——公共の目に触れる場所——に戻すこと。1994年にこれをやっていたのは、文化財の略奪・返還問題が国際的な議論になる時代より少し早い。今の目で見ると先取りしていたように見えるが、おそらく作り手はそこまで意識していない。ただ「いいこと」として描いただけかもしれない。それでも、物語の骨格としては正直に機能している。
中尾隆聖演じるアルフレッドのキャラクターが、この構造をうまく支えている。学者然とした理屈っぽさと、冒険のどさくさに紛れる抜けた部分が混在していて、「博物館に寄贈する」という行為をイデオロギーじゃなく習慣として体現している感じ。岩男潤子のメリッサは、その二人組に外側から「これって本当に意味があるの?」と問いかける存在として機能していて、三者の関係が自然なチェックアンドバランスになっている。
単なる冒険活劇ではなく、「持っていい人間と持ってはいけない人間」についての話だ、と読むこともできる。ロード・ゼロが毎回失敗するのは能力が足りないからじゃなく、動機が間違っているからだ——という倫理観が、子ども向けのフォーマットに静かに埋め込まれている。
特に刺さったシーン
終盤のある回で、メリッサが記者としての立場と旅の仲間としての立場の間で板挟みになるエピソードがある。岩男潤子の演技が、このとき珍しく声のトーンを落として、セリフの語尾を少しだけ不安定にする。ちゃんとした喜劇として回収されるんだけど、その直前の間が妙に長くて、子ども向けアニメとしては珍しい「息をのむ間」になっていた。
それから、大塚明夫とロールプレイ的なシーン——変装や騙し合いが多い作品なので、声を変えたり芝居がかった言い回しをする場面が何度かある。大塚明夫がわざと「軽い声」を出しているときの、抑制された存在感みたいなものが好きで、「この人、力を抜いたときのほうが怖い」という感想を持った記憶がある。
「宝を見つけたのに手放す」瞬間の演技は、毎回さらっと処理されていて、それが逆にいい。大げさに感動させようとしない。そのさらっとした処理が、モンタナというキャラクターの体温をちゃんと伝えている。
この作品が刺さる人・合わない人
刺さると思う人:
- 90年代テレビアニメを「掘る」のが好きな人(発見の喜びがある)
- 1930年代の時代設定が好き(衣装、乗り物、雰囲気が好みならかなり楽しめる)
- 大塚明夫・中尾隆聖・岩男潤子の仕事を追っている人
- インディ・ジョーンズシリーズが好きで、その雰囲気をアニメで味わいたい人
- 子ども向けアニメの「丁寧さ」が好きな人(粗いけど嘘がない)
合わないと思う人:
- ストーリーのスケールや複雑さを求めている人(1話完結のシンプルな構造)
- 配信がどこにもないので、視聴環境を自力で確保できない人(現状これが最大の壁)
- 90年代の作画クオリティに耐性がない人
- コメディとシリアスのバランスがフラットすぎると感じる人(緊張感が持続しにくい)
次に見るなら
ルパン三世(TVシリーズ各作)
1930〜40年代テイストの冒険活劇という意味では直系の親戚。モンタナ・ジョーンズのテンポ感やキャラクターの軽みに共鳴したなら、ルパンシリーズのどの作品も入り口になる。声優陣の仕事の重さという意味でも見比べる価値がある。
紅の豚
1930年代ヨーロッパ・地中海という時代と舞台が近い。コメディと哀愁の配合がモンタナ・ジョーンズとは異なるが、「時代の空気を背景に飄々と生きる男」というキャラクター造形の系譜としてつながって見える。90分で完結するのでとっつきやすい。
名探偵コナン(初期シリーズ)
子ども向けフォーマットに大人が見ても崩れない構造を詰め込む、という同時代的な試みとして比較できる。中尾隆聖の別の仕事ぶりを確認するという意味でも。