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巌窟王
| 放送年 | 2004年 |
|---|---|
| フォーマット | TVアニメ |
| 話数 | 24話 |
| 原作 | その他 |
| 制作 | GONZO |
アルベール・モルセルフという若い貴族が、奇妙な出来事を通じて富豪の貴族モンテ・クリスト伯爵と友情を育む。伯爵の魅力に魅了されたアルベールは、彼を自分の友人と家族に紹介する。彼らは皆上流社会の一員である。
作品概要・あらすじ
あらすじ
舞台は遥か未来の宇宙都市・ルナ。若き貴族アルベール・ド・モルセルフは、月面都市の謝肉祭で謎めいた富豪・モンテ・クリスト伯爵と運命の出会いを果たす。圧倒的なカリスマと底知れぬ財力を持つ伯爵に魅了されたアルベールは、彼をパリの社交界へ招待する。しかしその裏に、伯爵が長年胸に秘めてきた壮絶な復讐計画が静かに動き始めていた。みどころ・魅力
① 唯一無二のビジュアルデザイン
監督・前田真宏とマッドハウスが手がけた映像は、クリムトやアールヌーヴォーを思わせる幾何学模様と鮮烈な色彩が全編を彩る。キャラクターの衣装・背景・テクスチャに至るまで徹底した装飾主義で構成されており、他のどのアニメとも異なる圧倒的な画面体験が楽しめる。② 復讐劇としての深い人間ドラマ
デュマの古典「モンテ・クリスト伯」を原作に持ちながら、視点を若者アルベールに置いたことで、復讐の美しさと残酷さが同時に描かれる。伯爵の真意が少しずつ明らかになる構成は緊張感を持続させ、愛憎・裏切り・贖罪というテーマが重層的に絡み合う。③ 重厚な音楽とSF世界観の融合
宇宙を舞台にしながらも19世紀ヨーロッパの文化と価値観が息づくスチームパンク的世界観が魅力。jean-jaques burnel(ストラングラーズ)によるOPをはじめ、劇中音楽も本作の格調高い雰囲気を強烈に補強しており、映像と音楽が一体となった没入感を生み出している。キャスト・声優一覧























スタッフ
| 監督 | 前田真宏 |
|---|---|
| 原案キャラデザ | 前田真宏 |
| キャラクターデザイン | 松原秀典 |
| 音楽 | |
| 美術監督 | 佐々木洋、竹田悠介 |
| 音響監督 | 鶴岡陽太 |
| OP | ジャン=ジャック・バーネル「We Were Lovers」 |
| ED | ジャン=ジャック・バーネル「You Won’t See Me Coming」 |
| ED | ジャン=ジャック・バーネル「We Were Lovers」 |
トレーラー・MV
▲ 公式トレーラー(公式YouTube)
OP・ED
OP
ED
感想・評価
最初に見たとき——第一印象と、見ることになったわけ
「モンテ・クリスト伯のアニメ化」と聞いたときの反応は、たぶん多くの人と同じで、「また古典文学か」という薄い諦めだった。2004年当時、原作を読んでいたわけじゃない。深夜アニメをザッピングしていたら画面に釘付けになった、という、ありがちな出会い方。でも釘付けになった理由が普通じゃなかった。作画が、おかしい。布地のテクスチャが人体に直接貼り付いていて、背景と人物の境界が意図的に崩されている。最初は「バグか?」と思った。2回目に見たとき、これがデザインだと気づいて、ようやくこのアニメの見方がわかった気がした。物語の入口として機能しているのは、実はアルベール(福山潤)という若者の無垢さで、この独特なビジュアルはその無垢さが少しずつ侵食されていく過程を、画面の質感そのもので表現していたんだと思う。
復讐は成立するか——「正しい憎しみ」が世界を壊すまで
この作品を「復讐劇」と片付けるのは半分しか正しくない。モンテ・クリスト伯(中田譲治)の計画は完璧に近い。富も地位も人脈も、復讐のためだけに積み上げてきた。問題は、その復讐がほぼ正当だという点だ。彼はかつて、嫉妬と保身で動く人間たちによって、あるべき人生を丸ごと奪われた。観客から見ても「仕返しして当然」と感じられるように物語は設計されている。だから伯爵の行動を止める論理的な理由が、物語の前半ではほとんどない。
ところがアルベールという存在が、この方程式に異物として混入する。彼は復讐の標的の息子であり、伯爵の計画を知らない。純粋に伯爵を慕い、友人として接する。アルベール役の福山潤の声が、ここで重要な仕事をしている。若さの軽さと、どこか哀愁を帯びた揺らぎが同居していて、「この子に嘘をつき続けることの重さ」を伯爵側の視点から感じさせる。セリフの言葉より、声の質感で語る場面が多い。
この作品が問うているのは「復讐は完遂されたとして、何が残るか」だ。計画が進むにつれて、伯爵の標的だけでなく、無関係だったはずの人間、特にアルベールが巻き込まれていく。完璧な復讐計画には、罪のない者が踏み台になる局面が必ず来る。そこで伯爵は止まれるか。止まれないとしたら、それは「正義の執行者」ではなく何者なのか。
2回目に通して見ると、序盤の伯爵の振る舞いにいくつも罠が仕掛けてあることに気づく。魅力的に見えているのに、実は観客も伯爵の演技に乗せられていた、という構造。中田譲治の声が終始落ち着き払っているのが逆に怖い。感情を爆発させない。それが「人間をやめた者」の演技として機能している。
特に刺さったシーン
メルセデス(井上喜久子)が伯爵の正体に気づく場面。井上喜久子の声は元来、柔らかく包み込む質感がある。それが崩れる瞬間——怒りでも嘆きでもなく、静かな「わかってしまった」という空気——が、声のトーンの微妙な変化だけで伝わってくる。怒鳴らない。泣かない。ただ、少し息の速度が変わる。あれで全部わかった。
ぺッポ(中原麻衣)の存在も、2回目に見て見え方が変わったキャラクターのひとつだ。中原麻衣が軽さを保ちながら、どこか影を忍ばせている。初見では「賑やかし」に見えていた部分が、後半の展開を踏まえて見返すと、あの軽さ自体が一種の防衛だったとわかる。ここまで逆算して書いてある脚本だったのかと、少し呆然とした。
それとは別に、作画の話をしないわけにいかない。終盤、あのビジュアルが「崩壊」と「解放」の両方に見えてくる場面がある。テクスチャが剥がれていくような、世界の縫い目がほつれていくような感覚。音楽の使い方と合わさって、「絵として美しい」という感想と「不安で目を離せない」という感想が同時に来た。
読んで見たくなったら——『巌窟王』はdアニメストアで視聴できる(31日間無料)。
この作品が刺さる人・合わない人
刺さると思う人
- 原作「モンテ・クリスト伯」を読んだことがある、あるいは読んでみたい人(アニメが入口でも全く問題ない)
- 作画の「変さ」を楽しめる人。一般的なアニメの美麗作画とは真逆の方向性なので、そこに抵抗がないこと
- キャラクターの感情より構造的な仕掛けを読み解くのが好きな人
- 声優の演技をセリフの内容より声質・間・呼吸で聴く習慣のある人
- 2004年前後の深夜アニメが持っていた実験精神を懐かしめる人
合わないかもしれない人
- 視覚的にクセのある作画が生理的に受け付けない人(慣れるまでに数話かかる。慣れない人もいる)
- テンポよく話が進んでほしい人。この作品は伏線を丁寧に積み上げるタイプで、中盤はかなり静かに動く
- 主人公が「ざまあ系」的にスカッと勝ち続けることを期待している人。そういう作品ではない
次に見るなら
レ・ミゼラブル 少女コゼット(2007年)——同じくフランス文学の古典をアニメ化した作品。社会的不正義と人間の善悪が絡み合うテーマは巌窟王と地続きで、古典文学の構造的な重さをアニメで受け取りたい人に。
91Days——禁酒法時代を舞台にした復讐劇。「正当な復讐が人間をどこへ連れていくか」という問いを、より直線的に問い詰める作品。巌窟王で伯爵に共感しながらも怖いと感じた人は、ここでも同じ感覚に落ちる。
ノワール——2001年放映、こちらも復讐と宿命を軸にした作品。派手な感情表現より、静けさと構造で語るスタイルが近い。女性二人の関係性が核心にあり、巌窟王のアルベールと伯爵の関係と響き合う部分がある。
配信・視聴情報
| サービス | 配信 | 月額 | 無料期間 | 作品数 |
|---|---|---|---|---|
| ABEMAプレミアムイチオシ | × | ¥680〜(税込) | 無料あり | 1,000+ |
| Amazonプライムビデオ | × | ¥600(税込) | 30日間 | 1,700+ |
| クランクイン!ビデオ穴場 | × | ¥990〜(税込) | 最大1ヶ月 | 7,000+ |
| dアニメストア | ¥660(税込) | 31日間 | 7,200+ | |
| U-NEXT | ¥2,189(税込) | 31日間 | 6,000+ | |
| DMM TV | ¥550(税込) | 14日間 | 6,300+ | |
| Netflix | × | ¥890〜(税込) | なし | 1,600+ |
| Hulu | × | ¥1,026(税込) | なし | 2,900+ |
| Disney+ | × | ¥1,250〜(税込) | なし | 500+ |
よくある質問
まとめ
『巌窟王』は現在、dアニメストア・U-NEXT・DMM TVの3サービスで視聴可能です。サブスクを利用中であればすぐに視聴を始められます。いずれも見放題対象作品として配信されているため、比較検討してお好みのサービスでお楽しみください。
