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くじらとり
| 放送年 | 2001年 |
|---|---|
| フォーマット | 劇場版 |
| 話数 | 1話 |
| 原作 | その他 |
ミタカのジブリ美術館でのみ上映される短編作品です。長年愛される児童書「いやいやえん」(中川李枝子著)の一編をアニメ化しました。チューリップ保育園に通う少年シゲルは、ある朝、1歳上の男の子たちがブロックで船を作っているのを見かけます。彼も一緒に参加したいと思います。完成した船は…
作品概要・あらすじ
あらすじ
チューリップ保育園の男の子シゲルは、1歳上のお兄さんたちがブロックで大きな船を作っているのを見かける。仲間に入れてもらい、完成した船はなんと本物の海へと旅立ち、子どもたちはクジラを追いかける大冒険へ繰り出す。中川李枝子の名作絵本「いやいやえん」の一編を原作に、三鷹の森ジブリ美術館の短編作品として制作された。みどころ・魅力
① 保育園のブロックが「本物の船」になる瞬間の驚き
子どもが日常の遊び道具で作った船が、気づけば本当の大海原を走りだす。この「地続きの夢」の演出が、幼い観客の想像力を刺激する。現実から冒険へのスムーズな移行は、ジブリ短編ならではの演出巧者ぶりが光る見どころだ。② 原作「いやいやえん」の世界観を丁寧に映像化
1962年刊行の児童文学の古典を、保育園の日常描写から丁寧に拾い上げてアニメ化。子どもたちの感情や関係性が細やかに描かれており、原作を知る大人が見ても、初めて触れる子どもが見ても、それぞれの楽しみ方ができる作りになっている。③ ジブリ美術館でしか観られない「特別な体験」
本作は三鷹の森ジブリ美術館の館内上映専用作品。商業公開・配信は一切なく、美術館を訪れた人だけが観ることができる。その希少性が作品への期待感を高め、観賞後の記憶をより鮮明にするという、体験設計まで込みの短編映画だ。スタッフ
| 監督 | 宮崎駿 |
|---|---|
| 音楽 | 野見祐二 |
感想・評価
最初に見たとき——第一印象と、見ることになったわけ
三鷹の森ジブリ美術館に行くたびに、館内上映の短編だけは必ずチェックしていた。その回がたまたま「くじらとり」だった。「いやいやえん」というタイトルは知っていたけれど、読んだことはない。原作者の中川李枝子は、あの「ぐりとぐら」の人だと後で気づいた。それを知ってから見直すと、まるで違う重みが乗ってくる。
最初に見たときの感想は正直、「あっ、これだけ?」だった。上映時間は十数分。絵本が動いているような感覚で、あまりにもシンプルに終わる。でも帰り道に、なぜかずっと頭に残った。保育園の子供たちが、ブロックで作った船に乗って本物の海へ漕ぎ出す——ただそれだけの話なのに。
子供の「本気」は、大人が思うより全然本物だ
シゲルはブロックで作られた船に乗って、本当にくじらを捕りに行く。これを「子供の空想」として処理するのは簡単だ。でもこの作品は、その空想を一ミリも「空想として」描いていない。子供たちにとって、あの船は本物の船だ。海は本物の海で、くじらは本物のくじらだ。それを疑うカメラワークも、「実は夢でした」的なオチも、ここには存在しない。
宮崎駿がジブリ美術館の短編に込めているものの本質が、この作品に凝縮されていると思う。子供というのは、自分が信じていることを「信じているふり」ではなく、文字通り信じている。その体験の絶対的なリアリティを、大人は「かわいいね」と外から眺めてしまう。でもこの短編はそうじゃない。カメラはずっと子供たちと同じ目線にある。海の波の大きさも、くじらの存在感も、子供の体感スケールそのままで描かれている。
もう一つ気になるのは、シゲルが「1歳上の男の子たちに入れてもらいたい」という動機で物語が始まるところだ。5歳と4歳。たった1歳の差が、保育園という小さな社会では途方もなく大きい。上の子のグループに混ぜてもらえるかどうか、あの緊張感は誰でも覚えていると思う。その小さな社会的な不安を入口にしておいて、気づいたら本物のくじら漁の話になっているのが、この短編の構造として面白い。日常から非日常への移行を、理屈なしに飛び越えてくる。
2001年という公開年も頭に入れておきたい。「千と千尋」の年だ。長編が大きな商業的使命を持っていた一方で、ジブリ美術館という場所でこれだけ無防備な短編を作っていた。売れるかどうかと関係のないところで作られたものは、やはりどこかが違う。
特に刺さったシーン
ブロックで組まれた船が、実際に水に浮いて沖に出ていくシーンがある。あの瞬間の「当然のように浮く」感じ——作品がそこで一切立ち止まらないことに、最初は面食らった。「え、行くの?」と思う間もなく、もう海の上にいる。2回目に見てわかったのは、あの速度が子供の時間感覚そのままだということだ。子供は「これは本当に動くのだろうか」とは疑わない。動くと思っているから動く。
くじらと対峙する終盤の場面は、音の使い方が印象的だった。美術館のあの小さなスクリーンと音響でも、くじらのスケールが十分に伝わってくる。子供向けの作品だからといって、怖さを抜いていない。むしろちゃんと「でかい」し「圧がある」。その怖さを正面から受け止めて、それでも前に進むシゲルたちの顔が好きだった。
この作品が刺さる人・合わない人
刺さる人
- ジブリ美術館に行く予定がある、またはすでに行ったことがある人
- 「いやいやえん」を子供のころに読んで育った世代
- 宮崎駿の「商業とは無関係なところで作ったもの」に興味がある人
- 子供の視点・子供の時間感覚を追体験するような作品が好きな人
- 短編アニメーションという形式自体に愛着がある人
合わない人
- ストーリーの起伏やドラマティックな展開を求めている人
- 「美術館でしか見られない」という制約にストレスを感じる人
- 十数分で「何かを得た感」を求めている人
- 子供向けとはっきりわかる作品は最初から対象外だと思っている人
次に見るなら
同じくジブリ美術館の短編として作られた「コロの大さんぽ」は、小さな体と大きな世界のスケール差を丁寧に描く点でよく似ている。「くじらとり」の空気が好きなら、こちらも美術館の上映機会を逃したくない一本だ。
「となりのトトロ」は言うまでもなく、子供の体験するリアリティを大人が外から解釈しないスタンスが共通している。トトロを見た後に「くじらとり」を見ると、宮崎駿が子供をどう見ているかがより輪郭をもって見えてくる。
原作「いやいやえん」が好きだったなら、同じ中川李枝子原作の絵本世界を映像化した「ぐりとぐら」関連の映像作品も探してみる価値がある。この短編を見た後、原作を読み返すルートもかなりおすすめだ。
配信・視聴情報
| サービス | 配信 | 月額 | 無料期間 | 作品数 |
|---|---|---|---|---|
| ABEMAプレミアムイチオシ | × | ¥680〜(税込) | 無料あり | 1,000+ |
| Amazonプライムビデオ | — | ¥600(税込) | 30日間 | 1,700+ |
| クランクイン!ビデオ穴場 | × | ¥990〜(税込) | 最大1ヶ月 | 7,000+ |
| dアニメストア | × | ¥660(税込) | 31日間 | 7,200+ |
| U-NEXT | × | ¥2,189(税込) | 31日間 | 6,000+ |
| DMM TV | × | ¥550(税込) | 14日間 | 6,300+ |
| Netflix | — | ¥890〜(税込) | なし | 1,600+ |
| Hulu | — | ¥1,026(税込) | なし | 2,900+ |
| Disney+ | — | ¥1,250〜(税込) | なし | 500+ |
よくある質問
まとめ
本作はジブリ美術館のみで上映される非公開作品のため、現時点で配信サービスでの視聴はできません。鑑賞するには三鷹の森ジブリ美術館に入館する必要があります。美術館でしか出会えない作品という希少性も、本作の大きな魅力のひとつです。