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マスターモスキートン
| 放送年 | 1996年 |
|---|---|
| フォーマット | OVA |
| 話数 | 6話 |
| 原作 | 漫画 |
| 制作 | Zero G Room |
1920年代、イナホは自分の血でモスキートンという吸血鬼を蘇らせる。彼女に従うようになったモスキートンとともに、イナホは不老不死を与えるO-Partを求める。しかし、超自然的な怪物たちが彼らの目標達成を阻止しようと立ちはだかる。
作品概要・あらすじ
あらすじ
時は1920年代。元気いっぱいの少女イナホは、封印されていた吸血鬼モスキートンを自らの血で蘇らせてしまう。血を与えた者に従う契約により、モスキートンはイナホの従者となり、彼女の野望に付き合わされることに。イナホの目的はただひとつ——不老不死をもたらす伝説の秘宝「O-Part」を手に入れること。しかし旅の道中には、次々と超自然的な怪物たちが立ちはだかる。ドタバタと賑やかな冒険が始まる。みどころ・魅力
① 1920年代×オカルトの独特な世界観
大正末期から昭和初期にあたる1920年代を舞台に、吸血鬼や超自然的怪物が入り乱れる異色の設定が魅力。レトロモダンな雰囲気とオカルト要素が融合した世界観は、ほかのアクション系OVAとは一線を画す。ノスタルジックでありながら奇妙な熱量に満ちた空気感がクセになる。② 凸凹コンビのコメディ×バトルのバランス
強引で天真爛漫なイナホと、振り回されながらも戦うモスキートンという凸凹コンビの掛け合いが本作の核心。シリアスなバトルシーンとギャグの切り替えが小気味よく、笑いとアクションの両方を楽しめる構成になっている。テンポのよさが飽きさせない。③ 不老不死をめぐる冒険活劇としての完成度
「O-Part」という伝説の秘宝を巡るロードムービー的な構成で、エピソードごとに異なる怪物や謎が登場する。各話完結に近い展開ながらも全体の目的がブレないため、OVA形式でも物語に芯が通っている。1990年代OVAの熱気を凝縮したエンターテインメント作品として楽しめる。キャスト・声優一覧










スタッフ
| 音楽 | 手塚理 |
|---|---|
| OP | 手塚治虫「マスターモスキートンのテーマ (Master Mosquiton no Theme)」 |
| ED | 今井由香「無敵のLOVE (Muteki no Love; Invincible Love)」 |
トレーラー・MV
▲ 公式トレーラー(公式YouTube)
OP・ED
OP
ED
感想・評価
最初に見たとき——第一印象と、見ることになったわけ
タイトルだけ見て「蚊がマスターなのか」と思ったのは、たぶん全人類共通の反応だと思う。マスターモスキートン。どう読んでも蚊(モスキート)が名前の由来で、しかも「マスター」と呼ばれている。なんだそれ。その疑問だけで再生ボタンを押してしまった。
実際に見てみると、蚊どころかがっつり吸血鬼の話で、1920年代という時代設定と、O-Partという不老不死アイテムをめぐる冒険という骨格は至ってまとも。むしろ思ったよりまともすぎて、最初は「あ、コメディ成分薄めか」と感じた。2周目で気づいたのは、笑いが声のトーンや間に仕込まれていて、派手なギャグより役者の呼吸で成立しているタイプだということ。子安武人がモスキートンを演じているので、そのあたりの「笑わせにきているのかシリアスなのか判断できない演技」が序盤からずっと続く。それがこの作品の癖になるリズムを作っていた。
「主人」に仕える怪物——従属関係の逆転が生む、奇妙なやさしさの話
モスキートンはイナホの血で蘇り、イナホに従う。設定だけ書けばそうなる。でもこの作品が単なる「召喚モンスターが主人公を守る話」ではないのは、その従属の中に、どう見ても対等に見える関係性が透けて見えるからだ。
イナホは不老不死を求めてO-Partを探す。その動機は「生きたい」という純粋さより、少し欲張りな人間のわがままに近くて、見ていて憎めない。モスキートンはその願いに付き合いながら、何百年も生きてきた存在の余裕で、ときに冷めた目線を向ける。子安武人の声はこういう役に本当に向いていて、呆れているのか愛おしんでいるのかわからない絶妙な乾き方で台詞を乗せてくる。386本のキャリアが積み上げてきた「感情を抑制したまま感情を出す」技術が、モスキートンというキャラクターそのものの矛盾と重なっている。
吸血鬼という存在は不死だ。でも、イナホが不死を求めてO-Partを探している。これが面白くて、不死の存在に「不死をくれ」と命令している構造になっている。しかも蘇らせたのはイナホ自身の血。与えているのはイナホで、力があるのはモスキートン。どちらが「主人」かが見ているうちにじわじわとわからなくなってくる。
うえだゆうじ演じるホノオ、根谷美智子演じるユキというモスキートンの眷属たちが加わると、さらに関係性の層が増す。彼らはモスキートンに従いながら、イナホのペースに振り回されている。鶴ひろみが複数の役を掛け持つことで生まれる独特の空気感も含め、このOVAは「誰が誰に仕えているか」という問いを、シリアスに解決しないまま笑いに変換していく構造を持っている。それが1996年のOVAとしては相当巧みで、今見ても古くならない部分がそこにある。
特に刺さったシーン
超自然的な怪物たちとの戦闘序盤、モスキートンが本気を出す直前の「溜め」の芝居が好きで、何度か巻き戻した。イナホに命令されて動くわけだが、子安武人の間の取り方が「承知しました」でも「はいはい」でもない、もっと複雑な諦念と照れとユーモアが混ざったラインになっている。感情を読ませないようで全部読める、という奇妙な透明感。
今井由香演じるイナホが追い詰められたときの声の質感も印象に残っている。わがままな少女のはずが、声の芯に妙な覚悟が混ざる瞬間があって、そこで初めてこのキャラクターの欲望が単純な自己中心さじゃないとわかる。O-Partを求めることへの、誰にも言えない切実さ。それが声だけで伝わってくる演技だった。2回目に見たとき、序盤のセリフが全部違って聞こえた。
この作品が刺さる人・合わない人
刺さる人
- 子安武人のキャリアを追っているオタク。モスキートンは彼の「感情をカモフラージュする演技」の教科書的な例として見る価値がある
- 1920年代という時代設定のロマンにピンとくる人。蒸気と魔術と怪物が共存する世界観が好きなら入りやすい
- 派手なバトルより、関係性のズレや会話の呼吸で笑える人
- OVA文化の温度感、90年代中盤の空気感をそのまま味わいたい人
合わない人
- 明快なストーリー進行と伏線回収を求める人。このOVAはそちらより雰囲気と関係性で持たせるタイプ
- 配信で手軽に見たい人。現時点では主要配信サービスのいずれでも視聴不可なので、入手ハードルが高い
- テンポが速いバトルアニメを期待すると肩透かしを食う可能性がある
次に見るなら
吸血姫美夕(OVA版)が近い温度感で見られる。神魔のはざまで生きる存在と人間との奇妙な共存関係、90年代OVAならではの湿度の高い演出。マスターモスキートンのコメディ成分を抜いて、ダークに振ったような作品で、両方見るとOVA期の「不死もの」の振れ幅がわかる。
スレイヤーズは1920年代ではなくファンタジー世界だが、強引な女主人公に振り回される男性キャラという関係性の構造がよく似ている。うえだゆうじも出演しており、90年代コメディ冒険ものの文法を共有している。マスターモスキートンのノリが合った人は間違いなくハマる。
ロスト・ユニバースも同時代で、スレイヤーズと同じくコメディと冒険のバランスが似た温度にある。組み合わせて見ると、90年代中盤のOVA・TV問わずアクションコメディがどういう文法で成立していたか、体系的に掴める。
配信・視聴情報
| サービス | 配信 | 月額 | 無料期間 | 作品数 |
|---|---|---|---|---|
| ABEMAプレミアムイチオシ | × | ¥680〜(税込) | 無料あり | 1,000+ |
| Amazonプライムビデオ | — | ¥600(税込) | 30日間 | 1,700+ |
| クランクイン!ビデオ穴場 | × | ¥990〜(税込) | 最大1ヶ月 | 7,000+ |
| dアニメストア | × | ¥660(税込) | 31日間 | 7,200+ |
| U-NEXT | × | ¥2,189(税込) | 31日間 | 6,000+ |
| DMM TV | × | ¥550(税込) | 14日間 | 6,300+ |
| Netflix | — | ¥890〜(税込) | なし | 1,600+ |
| Hulu | — | ¥1,026(税込) | なし | 2,900+ |
| Disney+ | — | ¥1,250〜(税込) | なし | 500+ |
よくある質問
まとめ
現時点では国内外の主要な動画配信サービスでの配信は確認されていません。視聴には中古ソフトや専門店での入手が主な手段となります。1990年代のOVA作品として入手難度はやや高めですが、レトロアニメファンにはぜひ探してほしい一作です。