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PUPARIA
| 放送年 | 2020年 |
|---|---|
| フォーマット | ONA |
| 話数 | 1話 |
| 原作 | オリジナル |
玉川真吾監督による自主制作アニメ「PUPARIA」は、明確なストーリーを持たず、見る者に「何か大きな変容が起こりそうで、ただそれを見守ることしかできない」という感覚を与える作品です。 ペンシル技法で描かれた幻想的でシュールな映像が、スティーブ・ライヒのミニマルな楽曲に乗せて展開されます。 監督は、商業アニメへの不満や、世の中の価値観が揺らぐ感覚から本作を制作しました。 「PUPARIA」は「蛹」を
作品概要・あらすじ
あらすじ
玉川真吾監督が個人で制作したONA『PUPARIA』は、明確な物語を持たない約数分間の短編アニメーションです。鉛筆で緻密に描き込まれた幻想的でシュールな映像が、ミニマルな旋律に乗せて静かに展開していきます。包帯に包まれた少女のような存在や巨大な生き物が織りなす世界には、台詞も説明も一切ありません。残るのは「何か大きな変容が起ころうとしていて、それをただ見守ることしかできない」という独特の感覚です。タイトルの「PUPARIA」は蛹(さなぎ)を意味し、変態の途上にある静謐な時間そのものを映し出した作品となっています。
みどころ・魅力
① 鉛筆が描き出す唯一無二の質感
本作最大の特徴は、すべてが鉛筆(ペンシル)技法で描かれている点です。緻密な線の集積が生む独特の陰影と質感は、デジタル全盛の現代アニメとは一線を画します。手描きならではの揺らぎや温度感が、観る者を夢とうつつの境界が溶けた幻想世界へと深く引き込んでいきます。
② ミニマル・ミュージックとの共鳴
映像はスティーヴ・ライヒを思わせるミニマルな楽曲に乗せて展開します。反復するフレーズと淡々と移ろう映像が同期することで、瞑想的で催眠的な時間が立ち上がります。音と絵が互いを補強し合い、言葉では説明しきれない感覚的な没入体験を生み出しているのが魅力です。
③ 物語を排した「変容」の予感
本作には明確なストーリーも台詞も存在しません。あるのは「何か大きな変容が起こりそう」という予感だけです。商業アニメへの問題意識から生まれた作品らしく、結末を提示せず解釈を観る者に委ねます。蛹(PUPARIA)という題名どおり、変態の途上を見守る静かな緊張感が全編を貫いています。
トレーラー・MV
▲ 公式トレーラー(公式YouTube)
感想・評価
最初に見たとき——第一印象と、見ることになったわけ
配信なしか、というのが正直な第一声だった。存在自体、ある夜に誰かが貼ったリンクで初めて知った口で、3分ちょっとの自主制作と聞いた時点ではそこまで腰を据えるつもりもなかった。ところが冒頭の数十秒で姿勢が変わる。鉛筆の線だけで描かれた世界が、スティーブ・ライヒを思わせる反復する音に乗って、じわじわと蠢き出す。1回目は何が起きているのか掴めないまま終わって、反射的にもう一度再生していた。2回目で気づいたのは、その「掴めなさ」こそが作品の中身らしいということ。3回目はもう映像を追うのをやめて音だけ流していた。たった3分の、どこでも気軽に見られるわけでもない作品が、なぜか何日も頭の隅に残り続ける。そういう体験は久しぶりだった。
変態の瞬間ではなく、その直前の「ざわつき」を描いている
PUPARIA=蛹。タイトルからして変容の話だろうと身構える。けれどこの作品、肝心の「変わる瞬間」を一度も見せてくれない。最後まで、何か大きなことが起きそうな気配だけがずっと続く。蛹の中では一度からだが溶けて作り直されるらしいが、外から眺めている分には硬い殻があるだけだ。中で進行している解体と再構築を、見ている側は絶対に覗けない。この作品が突きつけてくるのは、たぶんその「見えなさ」そのものだと思う。
単なる前衛映像として処理してしまうには惜しい。監督が商業アニメへの不満と、世の中の価値観が揺らいでいく感覚からこれを作ったという経緯を後から知って、ようやく腑に落ちた。今ある枠組みが溶けかけているのに、次の形はまだ立ち上がってこない——あの宙吊りの時間。それはまさに蛹のなかの状態だ。社会も、自分も、変わる手前でただざわついている。明確な結末を用意しないのは手抜きでも難解ぶっているわけでもなく、「結末が見えないまま耐える」というあの感覚を、観客にそのまま体験させるための選択なんだと思う。何かになりそうで、まだ何にもなっていない。その不安と期待が同居した数分間を、線と反復音だけで成立させてしまっている。物語を語らないことで、語れないものを語っている作品だ。
特に刺さったシーン
終盤、それまで淡々と反復していた音がふっと密度を増して、画面の情報量が一段跳ね上がる瞬間がある。ここで初めて「いよいよ何か起きる」と身構えさせられた。鉛筆の細かい線が一気に押し寄せてきて、目の奥がざわつく。思わず画面に顔を近づけて、線の一本一本を追ってしまった。けれど結局、決定的な「変態」は訪れないまま映像は閉じる。期待を高めるだけ高めておいて、その先を見せない。あの寸止めの感触が、1回目はモヤモヤとして、2回目には妙に正しいものに思えてきた。商業作品なら絶対にカタルシスを用意するであろう場所で、あえて何も起こさない。その引き算の度胸に、見るたびやられている。音と線がぴたりと噛み合った数秒だけで、これだけ呼吸を浅くさせられるとは思っていなかった。
この作品が刺さる人・合わない人
刺さる人
- 物語そのものより、見ているあいだの「体験」や感覚を味わいたい人
- 実験アニメ・個人制作の手触りが好きで、説明されないことに耐えられる人
- ミニマル・ミュージックの反復に身を委ねるのが好きな人
- 鉛筆の線や質感そのものに見惚れてしまうタイプの作画フェチ
合わない人
- 明確なストーリーと、スッキリした結末がないと落ち着かない人
- 3分のあいだに分かりやすい意味や答えを求めたい人
- 主要な配信サービスで気軽に流し見したい人(現状そこには無い)
- キャラクターやセリフ、声優の芝居を入り口にして作品に入る人
次に見るなら
たった一人の作家が世界を立ち上げる手触りに惹かれたなら、ほしのこえ。ほぼ個人制作から始まった出発点で、整っていない分だけ「作りたい」という衝動が画面から漏れ出している。PUPARIAの自主制作のヒリつきが好きなら確実に効く。
「蛹=閉じた殻の中」というモチーフが気に入ったなら、ペイル・コクーン。タイトルからして繭で、静かな喪失感と内向きの密度がよく似ている。説明を絞った余白の作り方も近い。
線と音で観客の感覚そのものを揺さぶる映像体験が欲しいなら、マインド・ゲーム。方向性は真逆に賑やかだけれど、「変容していくこと」を映像の暴走でねじ込んでくる点で、PUPARIAの裏側みたいな一本だ。
配信・視聴情報
| サービス | 配信 | 月額 | 無料期間 | 作品数 |
|---|---|---|---|---|
| ABEMAプレミアムイチオシ | × | ¥680〜(税込) | 無料あり | 1,000+ |
| Amazonプライムビデオ | — | ¥600(税込) | 30日間 | 1,700+ |
| クランクイン!ビデオ穴場 | × | ¥990〜(税込) | 最大1ヶ月 | 7,000+ |
| dアニメストア | × | ¥660(税込) | 31日間 | 7,200+ |
| U-NEXT | × | ¥2,189(税込) | 31日間 | 6,000+ |
| DMM TV | × | ¥550(税込) | 14日間 | 6,300+ |
| Netflix | — | ¥890〜(税込) | なし | 1,600+ |
| Hulu | — | ¥1,026(税込) | なし | 2,900+ |
| Disney+ | — | ¥1,250〜(税込) | なし | 500+ |
よくある質問
まとめ
『PUPARIA』は、サブスクリプション型の定額配信サービスでの配信は確認されていません。玉川真吾監督が個人で制作・公開した短編作品のため、月額料金を支払うことなく視聴できます。まずはこの数分間の幻想的な映像体験に、気軽に触れてみてはいかがでしょうか。
