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HUMAN LOST人間失格
| 放送年 | 2019年 |
|---|---|
| フォーマット | 劇場版 |
| 話数 | 1話 |
| 原作 | その他 |
| 制作 | POLYGON PICTURES |
2036年、ナノマシンと「シェルシステム」により死は克服されたが、富裕層のみがその恩恵を受けられる。貧困な大庭葉蔵は奇妙な悪夢に悩まされ、友人のバイカーギャングに加わり、社会の秩序が崩壊した「インサイド」への侵入作戦に参加する。太宰治の「人間失格」を3D映画化した作品。
作品概要・あらすじ
あらすじ
2036年の東京。ナノマシン技術と国家管理システム「シェルシステム」によって人類は死を克服したが、その恩恵を受けられるのは一握りの富裕層だけ。貧困の中で生きる大庭葉蔵は、繰り返す悪夢と正体不明の衝動に苦しみながら、バイカーギャングの仲間とともに管理区域の外側「インサイド」への潜入作戦へと身を投じていく。太宰治の名作『人間失格』をディストピアSFとして大胆に再解釈した劇場アニメ作品。みどころ・魅力
① 太宰治×ディストピアSFという異色の組み合わせ
「生きる資格」を問う原作テーマを、生死が国家に管理される近未来社会へと置き換えた大胆な翻案が最大の見どころ。葉蔵の自己否定と社会への違和感が、富裕層と貧困層の格差という現代的な問題と重なり、原作を知る人も知らない人も引き込まれる重層的な物語に仕上がっている。② フルCGによる圧倒的なビジュアルとアクション
Production I.Gが手掛けたフル3DCGアニメーションは、退廃的な近未来東京の街並みと激しいバイクアクションを高密度に描写。特に「インサイド」に侵入する場面の緊張感と映像美は劇場クオリティならではの没入感で、スクリーン映えする映像体験を提供する。③ 人間の「資格」を問いかける哲学的なテーマ性
生を管理されることへの抵抗、そして「ヒトであること」の意味を問い続ける主人公の葛藤は、原作が持つ実存的な問いと直結している。エンターテインメントとしての派手さの奥に、自己存在への深い問いかけが息づいており、見終わった後に余韻が残る作品となっている。キャスト・声優一覧
















スタッフ
| 監督 | 木﨑文智 |
|---|---|
| 原作 | 冲方丁 |
| キャラクターデザイン | コザキユースケ |
| 音楽 | 菅野祐悟 |
| 音響監督 | 岩浪美和 |
| ED | エムフロウ「HUMAN LOST feat. J. Balvin」 |
トレーラー・MV
▲ 公式トレーラー(公式YouTube)
感想・評価
最初に見たとき——第一印象と、見ることになったわけ
「人間失格をSFにした」という一文だけで見に行くことを決めた。正直それ以上の情報はいらなかった。太宰の原作は、読んでいる間ずっとどこか居心地が悪い。主人公の葉蔵があまりにも「わかる」からで、そのわかり方が褒められたものじゃないというのも含めて。それをアニメーションで、しかもディストピアSFにぶつけるという発想、誰でも思いつくようで誰もやってこなかった。劇場の暗闇の中で宮野真守の声が低く沈んでいくのを聞きながら、「ああ、この葉蔵はそういう葉蔵か」と思った。原作のあの陰湿な内省が、外部化されて社会ごと病んでいる。2回目に見たとき気づいたのは、序盤の夢のシーンの質感が、意図的に「脳内と外界の境界が溶けている」ように設計されていたということ。初見ではただ混乱していただけだった。
「死なない社会」で人間失格になるとはどういうことか
原作の葉蔵が怖れていたのは、突き詰めれば「人間の輪に入れない自分」だった。感情の作法がわからず、笑いでごまかし、女と酒に溺れながら少しずつ壊れていく。あの小説の底にある問いは「人間とは何かを理解できない者は、人間になれないのか」だと思っている。
この映画はそれを2036年という設定でもう一度問い直す。ナノマシンとシェルシステムによって死が克服された世界、ただし恩恵は富裕層だけ。貧困な葉蔵は「死ねる側」に生まれながら、悪夢と現実の境界が崩れていく。ここで面白いのは、「不死」が救済として描かれていないことだ。シェルシステムに接続された人間が本当に「人間」なのかという問いは、原作の「人間の輪に入れない葉蔵」と構造的に対応している。原作では葉蔵が自発的に社会から外れていったが、この映画では社会のほうが先に「誰が人間で誰がそうでないか」を決めてしまう。
葉蔵が「インサイド」へ侵入していく展開は、原作でいえば道化を演じながら地下に潜っていくプロセスに重なる。違うのは、ここでは葉蔵に仲間がいることだ。堀木(櫻井孝宏)が友人としてそこにいて、葉蔵を引きずり回す。原作の堀木はどちらかといえば葉蔵の破滅を加速させる存在だったが、この映画の堀木はもう少し複雑で、善意と無責任が入り混じっている。その加減が、櫻井孝宏の声の軽さで絶妙に表現されていた。
ただ、この映画が問おうとしていることのスケールに対して、答えに向かうスピードが少し速い。テーマは壮大なのに、映像のアクションシーンに割かれる時間との配分がアンバランスで、終盤に向かうほど「ああ、そっちで畳もうとしているのか」という感触がある。コンセプトの面白さと着地点のすっきりしなさは、たぶん多くの人が同じ感想を持つと思う。それでもなお見る価値があると言えるのは、宮野真守の葉蔵が終始ちゃんと「人間失格の葉蔵」であり続けたからだ。ヒーロー的な解釈に引っ張られず、根本のところで壊れていて、それを外に向けて爆発させるのではなく内側に抱えたまま走り続けている。その演技の抑制が、この映画の最大の誠実さだと感じた。
特に刺さったシーン
柊美子(花澤香菜)が葉蔵に向き合うシーンが、個人的には一番長く残っている。花澤香菜の声は、透明感の中に細い傷のようなものが入っていて、それがこういう役にはまったときの説得力がある。「守られている側の人間が、守られていることに気づいていない」という状況で美子を見ていると、原作の女性キャラクターたちの影がちらつく。葉蔵に関わることで損をする人間の系譜。
もうひとつ、マダム(沢城みゆき)が登場するシーンの空気感が独特だった。沢城みゆきは「どこか人間離れした落ち着き」を声だけで作れる数少ない声優で、シェルシステムが絡む設定のキャラクターとして、あの距離感は正解だったと思う。初見では何者かわからず聞いていて、2回目で「ああ、最初からこういう立場で話していたのか」と気づく構造になっている。
読んで見たくなったら——『HUMAN LOST人間失格』はABEMAで視聴できる(無料プランあり)。
この作品が刺さる人・合わない人
刺さる人
- 太宰治の「人間失格」を読んだことがあって、あの閉塞感を映像で体験したい人
- ディストピアSFよりも「その世界で人間がどう壊れるか」に興味がある人
- 宮野真守・花澤香菜・沢城みゆきのキャスティングだけで劇場に足が向く人
- 着地より旅程を楽しめる人、コンセプトの強度に価値を感じられる人
合わない人
- ストーリーの整合性と伏線回収にシビアな人(終盤の畳み方は賛否ある)
- 原作「人間失格」への思い入れが強すぎる人(解釈の方向性が合わないと引っかかる)
- アクションシーンに爽快感を求めている人(重さが先に来る演出が多い)
- 世界観の説明が少ないと乗れないタイプ(序盤は意図的に情報を出し渋る)
次に見るなら
ハーモニー(劇場版)――伊藤計劃原作、こちらも「死を克服した管理社会で人間性が問い直される」話。HUMAN LOSTと同じ問いを、より徹底した論理で突き詰めていく。テーマの密度と着地点の鮮烈さは、SF文学系アニメの中でも別格。
空の境界(劇場版シリーズ)――「生と死」「人間であること」を軸にしたダークファンタジー。映像の美しさと哲学的な台詞のバランスが独特で、HUMAN LOSTに感じた「文学的な重さをアニメーションでやる」志向が好きなら必ず刺さる。
ノワール(TVアニメ)――直接的な続きではないが、「アイデンティティと暴力の間で揺れる女性」という構造と、映像美による情報の出し渋り方が近い。説明より空気で語る作風に慣れたい人に。
配信・視聴情報
| サービス | 配信 | 月額 | 無料期間 | 作品数 |
|---|---|---|---|---|
| ABEMAプレミアムイチオシ | ¥680〜(税込) | 無料あり | 1,000+ | |
| Amazonプライムビデオ | × | ¥600(税込) | 30日間 | 1,700+ |
| クランクイン!ビデオ穴場 | × | ¥990〜(税込) | 最大1ヶ月 | 7,000+ |
| dアニメストア | × | ¥660(税込) | 31日間 | 7,200+ |
| U-NEXT | ¥2,189(税込) | 31日間 | 6,000+ | |
| DMM TV | ¥550(税込) | 14日間 | 6,300+ | |
| Netflix | × | ¥890〜(税込) | なし | 1,600+ |
| Hulu | × | ¥1,026(税込) | なし | 2,900+ |
| Disney+ | × | ¥1,250〜(税込) | なし | 500+ |
よくある質問
まとめ
『HUMAN LOST 人間失格』は現在、ABEMA・U-NEXT・DMM TVで配信中です。複数のサービスで視聴可能なため、すでに加入しているサービスからすぐに楽しめます。ディストピアSF×文学という唯一無二の世界観を、ぜひ映像で体験してみてください。
