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アップフェルラント
| 放送年 | 1992年 |
|---|---|
| フォーマット | 劇場版 |
| 話数 | 1話 |
| 原作 | その他 |
| 制作 | J.C.STAFF |
アップフェルランドはロシア、オーストリア、ドイツに囲まれた小さくて美しい国です。首都シャルロッテンブルクに住む少年ヴェルは、フリッドという少女を助けることになります。彼女の祖父の廃坑からラジウムが発見されたため、彼女は誘拐されました。金欲しい米国人、男装した革命的なポーランド人女性、アップフェルランドの省など、様々な人物が集まります。
作品概要・あらすじ
あらすじ
ロシア・オーストリア・ドイツに囲まれた小国アップフェルランド。首都シャルロッテンブルクに暮らす少年ヴェルは、ある日フリッドという少女と出会う。彼女の祖父が所有する廃坑からラジウムが発見されたことで、フリッドは複数の勢力に狙われ誘拐されてしまう。黄金を夢見るアメリカ人、男装した革命家のポーランド人女性、そして国家機関まで——思惑の異なる者たちが入り乱れるなか、ヴェルは彼女を救い出そうと奔走する。みどころ・魅力
① 架空の小国を舞台にしたヨーロッパ風世界観
実在しない小国アップフェルランドを舞台に、1920年代前後のヨーロッパ的な街並みや文化が丁寧に描かれています。石畳の路地、クラシカルな建物など、細部まで作り込まれた背景美術が物語に独特の風格を与えており、冒険活劇の舞台として魅力的な没入感を生み出しています。② 資源をめぐる複数勢力の思惑が交錯するスパイ活劇的展開
ラジウムという希少資源を軸に、欲深いアメリカ人実業家・革命思想を持つ女性・国家権力が三つ巴で動き出す構図は、子ども向けながら政治的な駆け引きを含んだ重層的な物語です。各キャラクターの目的が異なるため、先の読めない展開が続き、最後まで目が離せません。③ 少年が困難に立ち向かう王道の冒険ドラマ
主人公ヴェルが自分より弱い立場の少女フリッドを守るために動き出すという、シンプルながら普遍的な構図が本作の骨格です。危機に直面しながらも諦めずに行動するヴェルの姿は、1992年当時の劇場版アニメが持っていた骨太な少年冒険劇の魅力を体現しています。キャスト・声優一覧























スタッフ
| 監督 | 湯山邦彦 |
|---|---|
| 原作 | 田中芳樹 |
| 原案キャラデザ | ふくやまけいこ |
| キャラクターデザイン | 山沢実 |
| 音楽 | |
| 美術監督 | 中村光毅 |
| 音響監督 | 藤山房伸 |
| ED | 船木真弓「ONE DAY AT A TIME(日本語バージョン」 |
感想・評価
最初に見たとき——第一印象と、見ることになったわけ
「アップフェルラント」というタイトルを見て、声に出して読み返した。ドイツ語っぽい響きだけど実在しない国名。こういう謎めいた名前の1992年劇場版、なぜか無視できなくて、dアニメで見つけたので再生した。
冒頭で架空小国シャルロッテンブルクの街並みが出てきた瞬間、「あ、これはちゃんとしたやつだ」とわかった。背景美術の密度が高くて、ロシア・オーストリア・ドイツに囲まれた「小さくて美しい国」という設定が、説明なしで絵として伝わってくる。少年ヴェルが少女フリッドの事情に巻き込まれていく序盤の手際もよくて、気づいたら引き込まれていた。「謎の作品を見てみた」という軽い気持ちで再生したのに、最後まで止まれなかった。
架空小国に群がる大人の欲望——少年の「半歩だけ前に出る」話
フリッドの祖父の廃坑からラジウムが発見されるという、ある意味で古典的なマクガフィンを軸に、この映画はかなり複雑な構図を組んでいる。欲張りなアメリカ人、男装したポーランドの革命家、アップフェルランドの省——それぞれに目的と事情を持つ大人たちが一気に動き始める。誰も単純な悪役ではなく、それぞれが自分なりの正義を持っている。1992年の劇場版でこの複雑さは珍しい。
少年ヴェルギール(山口勝平さん)は、この構図の中で何度も「自分には無理だ」という局面に立たされる。山口さんの声は少年らしい軽さがありながら、焦りや戸惑いを正直に乗せられる。だからヴェルが「半歩だけ前に出る」瞬間が効く。英雄的な決断ではなく、逃げるよりはマシという程度の選択。それでいい。
アリアーナ・ヴィシンスカという男装のポーランド革命家を勝生真沙子さんが演じているが、これが物語の厚みを一段上げている。勝生さんの声は芯が強く、複雑な立場のキャラクターでも「自分の意志で動いている」感覚をちゃんと声で表現できる。彼女のシーンで、この映画が単純な冒険活劇ではないことがわかる。
江原正士さんが演じるアルフレット・フライシャーは「大人の論理」を体現した存在で、江原さんの声の品格と冷たさがそのまま機能している。ヴェルが相手にしなければならない「世界の重さ」を声で体感させてくれる。
この映画のテーマは、子どもが巨大な権力構造に飲み込まれながら動き続けることだと思う。ただ、「動く」の規模が小さい。世界は救わない。ラジウムをめぐる争いの決着は大人たちが決める。それでもヴェルがそこにいたことで、フリッドは助かった。その小さな因果を丁寧に積み上げているのが、30年以上経っても古びない理由だ。「小国の脆弱さ」と「個人の意志の小ささ」がテーマとして重なっていて、そこが1992年当時にしては誠実な作りだと思う。
特に刺さったシーン
序盤、まだ事件が起きる前の、シャルロッテンブルクの街中のシーンが好きだ。「小さくて美しい国」という設定が台詞で説明されるのではなく、石畳や建物の描き込みでそのまま伝わってくる。この穏やかな空気が後の展開と対比になっているので、誘拐が起きたとき「あの街が壊れていく」感覚が生まれる。
折笠愛さんが演じるレオンハルトが登場する場面は、台詞が多くないシーンでも存在感があった。折笠さんの声はキャラクターに「自分の意志で動いている」感覚を乗せるのがうまくて、画面に映っている時間が短くても印象に残る。
藤原啓治さんはカイセルの部下という立場で出ているが、声の圧力だけで存在感を残している。脇のキャラクターでもああなるんだと、毎回思い知らされる。
終盤の緊迫した場面は、劇場のスクリーンと音響で体験できた人が少しうらやましい。dアニメの画面で見ていても十分な密度はあるが、音の広がりと大きさが違ったはずで、それだけがわずかに惜しかった。
読んで見たくなったら——『アップフェルラント』はdアニメストアで視聴できる(31日間無料)。
この作品が刺さる人・合わない人
刺さる人
- 1990年代初頭の劇場用アニメを掘るのが好きな人
- 単純な善悪より、複数の思惑が交差する構図が好きな人
- ハプスブルク帝国周辺のような、中央ヨーロッパ的な架空世界設定に反応する人
- 山口勝平・勝生真沙子・江原正士のキャリアを追っている人
- 「誰も話題にしていない1992年劇場版」という文字列だけで再生ボタンを押せる人
合わない人
- テンポの速い展開と明確なカタルシスを求める人(解決がじわじわしている)
- 主人公が圧倒的な活躍をする話を期待する人
- 30年前のアニメの画質やテンポに慣れていない人
- 架空国家の政治的背景を読み解きながら見るのが億劫な人
次に見るなら
架空のヨーロッパ小国を舞台に少女を救う冒険という構造が近いのはルパン三世 カリオストロの城(1979年)。主人公の活躍ぶりは段違いに爽快だが、「小国の脆弱さ」と「大人の権力が子どもを巻き込む」という骨格は重なる。アップフェルラントと並べると、同じ設定を違う作家がどう料理したかを比較できて面白い。
同じ1992年公開の劇場作品として紅の豚もある。ヨーロッパを舞台に時代と政治が背景に流れている点が共通している。トーンは真逆に近いが、「大人たちの欲望が渦巻く世界に個人がどう立つか」という問いは同じだ。
ヨーロッパ風の架空都市の描き込みが刺さったなら、魔女の宅急便(1989年)の方向もある。物語の構造は全然違うが、石畳の街並みと港町の空気感は同じ系譜にある。自分の力で動き続ける少女という点で、フリッドと重ねながら見ることができる。
配信・視聴情報
| サービス | 配信 | 月額 | 無料期間 | 作品数 |
|---|---|---|---|---|
| ABEMAプレミアムイチオシ | × | ¥680〜(税込) | 無料あり | 1,000+ |
| Amazonプライムビデオ | — | ¥600(税込) | 30日間 | 1,700+ |
| クランクイン!ビデオ穴場 | × | ¥990〜(税込) | 最大1ヶ月 | 7,000+ |
| dアニメストア | ¥660(税込) | 31日間 | 7,200+ | |
| U-NEXT | × | ¥2,189(税込) | 31日間 | 6,000+ |
| DMM TV | × | ¥550(税込) | 14日間 | 6,300+ |
| Netflix | — | ¥890〜(税込) | なし | 1,600+ |
| Hulu | — | ¥1,026(税込) | なし | 2,900+ |
| Disney+ | — | ¥1,250〜(税込) | なし | 500+ |
よくある質問
まとめ
『アップフェルラント』はdアニメストアで視聴できます。架空のヨーロッパ小国を舞台にした1992年の劇場版アニメで、資源争奪と少年の冒険を描いた作品です。dアニメストアに加入済みの方はすぐに楽しめます。