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ぼくはこのまま帰らない
| 放送年 | 1994年 |
|---|---|
| フォーマット | OVA |
| 話数 | 1話 |
| 原作 | 漫画 |
| 制作 | J.C.STAFF |
天藤健は親友・陽進成律郎への本当の気持ちを告白したいと願っていた。その障害となっていたのが律郎の彼女・萌衣子だった。高校を中退した健は、律郎と同居することになる。律郎に近づくために萌衣子と寝てしまった時、葛藤が始まった。
作品概要・あらすじ
あらすじ
高校を中退した天藤健は、親友・陽進成律郎への秘めた想いを抱えながら、律郎と同居する生活を始める。しかし律郎には彼女・萌衣子がいた。律郎に近づきたい一心で萌衣子と関係を持ってしまった健は、裏切りと欲望のはざまで深い葛藤に陥る。友情・愛情・嫉妬が複雑に絡み合う中、健はいつしか自分の本当の気持ちと向き合わざるを得なくなっていく。
みどころ・魅力
① 同性への恋心という繊細なテーマの描き方
1994年という時代に、男性同士の恋愛感情を真正面から描いた先駆的作品。健が律郎への気持ちを認識し、葛藤しながらも向き合っていく過程が丁寧に描かれており、感情描写の誠実さが際立ちます。
② 三角関係が生み出す複雑な心理ドラマ
健・律郎・萌衣子の三者それぞれが傷つき、追い詰められていく展開が見どころです。特に「好きな相手の恋人と関係を持つ」という禁断の選択から生まれる罪悪感と自己嫌悪の描写は、単純な恋愛物語に留まらない深みを持っています。
③ 閉塞した日常と「帰らない」という決意
高校中退・同居という逃げ場のない環境設定が、登場人物たちの感情の密度をさらに高めています。タイトルに込められた「帰らない」という言葉の意味が、物語の結末で重くのしかかる構成も評価されています。
キャスト・声優一覧
















スタッフ
| 監督 | 箕ノ口克己 |
|---|---|
| キャラクターデザイン | 中山由美 |
| 音楽 | 山本はるきち |
| 美術監督 | 廣瀬義憲 |
| 音響監督 | 高橋秀雄、藤山房伸 |
| ED | 山本晴吉「Innocence」 |
感想・評価
最初に見たとき——第一印象と、見ることになったわけ
タイトルを見た瞬間、「帰れないんだ」と思った。帰らない、じゃなくて帰れない。あるいは帰る場所がなくなった、か。1994年のOVAを今さら掘り起こしたのは、飛田展男の名前を別の作品のキャストリストで見かけて、そういえばこんな作品があったな、と思い出したからだ。
最初に見たとき、正直なところ、90年代の耽美路線OVAだと思って構えていた。絵柄はそうだし、ドラマ×ラブコメという組み合わせも当時の空気感がある。ところが序盤から妙に「生活の匂い」がする。高校を中退して同居する、という設定の地に足のついた感じ。憧れの相手の彼女と関係を持つという、あまり褒められた動機のない行動から葛藤が始まるところに、ちゃんと痛みがある。2回目で気づいたのは、タイトルの「このまま」という言葉の重さだった。何かを取り返せないまま、という意味が最後まで効いてくる。
取り返せない選択が、人を「帰れない場所」に連れていく
この作品を単なる三角関係の恋愛ドラマとして読むのはもったいない。健が律朗に近づくために萌衣子と関係を持つ、という構造は、倫理的にはかなりまずい。普通なら「最低な主人公だな」で終わるところだが、このOVAはその行為の「取り返しのなさ」をちゃんと引き受けている。
「帰らない」というタイトルは、場所への帰還を指しているわけじゃない。あの行為をする前の自分には、もう戻れない、ということだ。誰かへの気持ちを抱えたまま別の誰かと体だけの関係を結ぶ——その瞬間に何かが不可逆になる。健はそれをわかっていてやっているのか、わかっていないままやっているのか。その曖昧さが、作品全体に漂う「居心地の悪さ」の正体だと思う。
90年代のBL的な文脈でいえば、男性同士の感情をここまで「日常の中の葛藤」として描いたOVAは多くない。律朗への気持ちが「友情なのか恋愛なのか」を作品自体が明言しないのもポイントで、健自身がそれを言語化できないまま動いているから、行動がちぐはぐに見える。でもそのちぐはぐさが妙にリアルだ。自分の感情を正確に把握できていない人間が、正確でない行動を取る。その結果として「帰れない場所」まで来てしまう。
テーマをひと言で言うなら、「言葉にできなかった気持ちが、돌이킬 수 없는 행동으로 흘러넘치는 이야기」——韓国語になってしまったが、要するにそういうことだ。取り返せない選択を積み重ねた後に何が残るか、それをこの作品は1本のOVAで問いかけている。
特に刺さったシーン
一条和矢が演じる律朗が、同居生活の何気ないやりとりの中でふと感情を見せる場面が何度かある。そのたびに「あ、律朗はちゃんとこの状況をわかってるんじゃないか」という疑念が走る。一条和矢の芝居はその疑念を肯定も否定もしない。知っているのか知らないのか、受け入れているのか気づいていないのか——その判断を最後まで視聴者に委ねてくる。これは演出と演技が両方うまくないとできない。
飛田展男が演じる古川勝典の存在感も無視できない。直接的に物語を動かすキャラクターではないが、飛田展男特有の「感情を抑えた低音」が場面の温度を下げる効果を持っていて、健の葛藤をより際立たせる役割を担っている。出演146本の蓄積はこういう「いるだけで効く」演技に出てくる。
個人的に一番刺さったのは、中盤で健が選択の結果と向き合う静かな場面だ。セリフより間が長い。90年代のOVAは予算の都合でこういう「静止に近い場面」が多かったりするが、ここはそれが逆に機能している。何も言わない健の顔で、「もう帰れない」ということが伝わってくる。2回目に見ると、この場面より前のすべての選択の意味が変わって見えた。
読んで見たくなったら——サブスク配信はなし。TSUTAYA DISCASの30日間無料トライアルでレンタル代ゼロで見れる。
この作品が刺さる人・合わない人
刺さる人
- 90年代耽美・BL隣接OVAを掘り起こすのが趣味の人
- 「正しくない動機で動く主人公」の内面描写に耐えられる人
- 飛田展男・一条和矢の若い頃の芝居を聴き比べたい声優オタク
- 「帰れない選択」というテーマに自分の経験を重ねられる人
- ハッピーエンドより「余韻で終わる作品」を好む人
合わない人
- 主人公の行動に最低限の倫理を求める人(かなりきつい選択をする)
- 結末をはっきり回収してほしい人
- 90年代アニメの絵柄・作画水準が生理的に合わない人
- 配信で気軽に見たい人(TSUTAYA DISCASかDVD購入のみ)
次に見るなら
感情を言語化できないまま行動してしまう主人公の葛藤、という文脈で選んだ。
彼氏彼女の事情——90年代のラブコメでありながら、登場人物が「自分の感情を理解できていない」という点でこちらに近い。庵野秀明演出のテンションとは別に、感情の解像度が妙に高い作品で、「帰らない」と同じ時代に作られたとは思えない現代性がある。
LOVELESS——関係性の名前がつかないまま進む感情描写という意味で近い。こちらは2005年のTVアニメだが、90年代OVAの耽美的な空気感を21世紀に引き継いでいる作品として見ると面白い。ぼくはこのまま帰らないが気に入ったなら、感情の曖昧さを描こうとする姿勢が共鳴するはず。
同級生(2016年・アニメ映画)——こちらはきれいに着地するが、「言えなかった気持ちがついに言葉になる」過程を丁寧に描いている。帰らないで感情を言語化できなかった健の話を見た後に見ると、対比として効く。
配信・視聴情報
| サービス | 配信 | 月額 | 無料期間 | 作品数 |
|---|---|---|---|---|
| ABEMAプレミアムイチオシ | × | ¥680〜(税込) | 無料あり | 1,000+ |
| Amazonプライムビデオ | — | ¥600(税込) | 30日間 | 1,700+ |
| クランクイン!ビデオ穴場 | × | ¥990〜(税込) | 最大1ヶ月 | 7,000+ |
| dアニメストア | × | ¥660(税込) | 31日間 | 7,200+ |
| U-NEXT | × | ¥2,189(税込) | 31日間 | 6,000+ |
| DMM TV | × | ¥550(税込) | 14日間 | 6,300+ |
| Netflix | — | ¥890〜(税込) | なし | 1,600+ |
| Hulu | — | ¥1,026(税込) | なし | 2,900+ |
| Disney+ | — | ¥1,250〜(税込) | なし | 500+ |
よくある質問
まとめ
現時点で本作の配信サービスでの視聴は確認されていません。OVA作品のため、DVDやBlu-rayなどのパッケージ作品を探すのが主な鑑賞手段です。BL・ボーイズラブ専門の通販サイトや中古ショップで取り扱いが見つかる場合があります。