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鬼平~その男, 長谷川平蔵~
| 放送年 | 2017年 |
|---|---|
| フォーマット | OVA |
| 話数 | 1話 |
| 原作 | その他 |
| 制作 | Studio M2 |
江戸時代、盗賊や悪党から「鬼平」と恐れられた平次という男が登場する。青年は平次を知る久米八、彦十、お政ら複数の人物から、彼に関する物語を聞き集める。やがて青年は平次の若き日々と、彼がいかにして警察の捜査官となったのかを知ることになる。
作品概要・あらすじ
あらすじ
江戸時代、盗賊や悪党から「鬼平」と恐れられた男・長谷川平蔵。ある青年が、平蔵を古くから知る久米八、彦十、お政らを訪ね歩き、それぞれから彼にまつわる話を聞き集めていく。語り継がれる記憶の断片が積み重なるにつれ、やがて平蔵の若き日々と、いかにして幕府の火付盗賊改方長官へと至ったのか、その波乱の軌跡が浮かび上がってくる。みどころ・魅力
① 池波正太郎の名作を忠実に映像化した重厚な時代劇
池波正太郎の「鬼平犯科帳」を原作とし、江戸の空気感と人間ドラマをOVAとして丁寧に映像化。原作ファンにとっては馴染み深いキャラクターたちの息遣いをそのままに、長谷川平蔵という人物の複雑さと魅力が余すところなく描かれている。② 複数の語り手による多角的な人物像
久米八・彦十・お政ら個性的な人物それぞれの視点から語られる平蔵の姿は、一面的なヒーロー像ではなく、人間味あふれる立体的な肖像として浮かび上がる。語りの形式そのものが、本作の大きな魅力となっている。③ 実在した歴史上の人物を軸にしたリアリティ
長谷川平蔵は実際に江戸時代に存在した火付盗賊改方長官であり、その史実を背景に物語が展開することで、フィクションを超えた重みと説得力がある。歴史や時代劇に興味を持つ層にも響く作品となっている。トレーラー・MV
▲ 公式トレーラー(公式YouTube)
感想・評価
最初に見たとき——第一印象と、見ることになったわけ
時代劇は、基本的に見ない。江戸の町並みとか、着物とか、それ自体に特別な引っかかりがあるわけじゃない。なのに「鬼平」というタイトルだけは、どこかで何度も目にしていた。池波正太郎の原作がどうとか、長谷川平蔵という実在の人物がどうとか。OVAが出ていると知って、試しに見てみた。
最初の5分で「あ、思ったのと違う」と気づく。静かなんだ。BGMを絞って、台詞も少なくて、画面に余白がある。アクションものを期待していたとしたら、肩透かしかもしれない。でも2回目を見ると、その静けさが意図的であることがわかる。青年が複数の老人から「平蔵」の話を聞き集めるという構造——あれは「語り継ぎ」の物語だ、と。時代劇を普段見ない人間が見ても、入り口としては悪くなかった。
「恐れられた男」の若き日々——人は出会った人間によって形作られる
この作品が描いているのは、「鬼平」という完成された男の話ではない。平蔵がいかにして鬼平になったか、その過程を断片として拾い集めていく物語だ。
青年が複数の人物——久米八、彦十、お政——から話を聞くという構造には、意味がある。一人の語り手による一本道の英雄譚ではなく、それぞれが見た「平蔵」の横顔をつなぎ合わせることで、立体的な人間像を作ろうとしている。記憶というのは主観で歪んでいる。ある人にとっての「あの人は優しかった」が、別の人にとっての「あの人は怖かった」と矛盾なく共存する——そういうリアルな人物描写を、このOVAはやろうとしている。
「鬼」と恐れられた男が、若い頃は普通の、あるいは普通以下の人間だったとしたら。その変化の引き金は何か。単なる成長物語だとすると少し薄い。むしろこの作品が示唆しているのは、「人は出会った人間によって形作られる」ということじゃないかと思う。久米八にしても彦十にしても、平蔵の人生に深く関わった人間たちが、結果として「鬼平」という存在を作り上げている。個人の意志よりも、縁と環境が人を変える——江戸を舞台にした話だが、その問いかけは普遍的だ。
OVAという形式について補足すると、この作品はTVシリーズの余興ではなく、原作小説の雰囲気を映像化するための独立した試みに近い。鬼平という人物をすでに知っている人向けに作られている節があり、予備知識なしに見るとキャラクターへの文脈的な重みが薄れる。逆に言えば、原作や他媒体の鬼平を知った上で見ると、「あの男がこういう時期を経たのか」という発見がある。コアファン向けのOVAとして、正しい立ち位置だと思う。
特に刺さったシーン
終盤、青年が話を聞き終えて静かに去っていく流れの余韻がよかった。語り手たちの顔に浮かぶ表情——懐かしさとも、苦さとも取れる——が、セリフを使わずに「平蔵という人間がいかに大きかったか」を伝えている。説明しない演出は時代劇的な文法と相性がいい。
声優の演技については、老いた語り手たちの声の質感に注目した。若い頃の平蔵を語る声が、懐かしむようでいて、どこか苦い。2回目に見ると、その苦みの正体が少しわかってくる気がする。「恐れられた男」を作り上げた側の人間として、複雑な感情を抱えているという解釈で聴くと、一言一言の重さが変わってくる。
音楽は全体的に抑制が効いていて、派手な演出を避けている。三味線を中心とした和楽器の音が、台詞のないシーンを丁寧に埋めている。音が多すぎないので、映像の余白を観客が自分で埋める余地がある。「時代劇らしい雰囲気を出しました」という雑な感じではなく、静寂の使い方に意志を感じた。
この作品が刺さる人・合わない人
刺さる人
- 池波正太郎の原作、または鬼平という人物に以前から興味がある人
- アクションよりも人物描写・心理描写を重視する人
- 「英雄はどのように生まれるのか」という問いに引っかかりを感じる人
- 静かな演出・余白のある語り口が好きな人
- 時代劇・江戸文化を普段から嗜んでいる人
合わない人
- 時代劇に馴染みがなく、登場人物の関係性や文脈を一から把握するのが苦手な人
- テンポが速い・情報量が多いアニメに慣れている人
- OVAに「完結した1本の物語」を期待している人(この作品は断片の集積として終わる)
- 配信・DVDで手軽に視聴したい人(現状どの媒体でも視聴困難)
次に見るなら
百日紅〜Miss HOKUSAI〜は、江戸時代の絵師・葛飾北斎の娘を主人公にした劇場アニメ。鬼平と同じく「時代劇としての空気感」を大切にしていて、静かな画面の中に人間の業や情愛を描く。派手さよりも余韻を重視した作りで、鬼平の後に続けて見ると相乗効果がある。
どろろ(2019年TVアニメ版)は、時代こそ中世に近いが「ひとりの男がどのように形成されるか」というテーマが近い。暴力と慈悲が表裏一体の世界で、人物が何によって変化するかを丁寧に描いている。鬼平の「人はどう変わるか」という問いを引き継ぎたい人には刺さる。
剣風伝奇ベルセルク(1997年TVアニメ版)は時代設定は全く異なるが、「複数の視点から男の若き日々を語る」という構造が共鳴する。「完成された怪物がいかにして生まれたか」を問う作品としての文脈は一致しているので、鬼平的な問いに乗ったまま見られる。
配信・視聴情報
| サービス | 配信 | 月額 | 無料期間 | 作品数 |
|---|---|---|---|---|
| ABEMAプレミアムイチオシ | × | ¥680〜(税込) | 無料あり | 1,000+ |
| Amazonプライムビデオ | × | ¥600(税込) | 30日間 | 1,700+ |
| クランクイン!ビデオ穴場 | × | ¥990〜(税込) | 最大1ヶ月 | 7,000+ |
| dアニメストア | × | ¥660(税込) | 31日間 | 7,200+ |
| U-NEXT | × | ¥2,189(税込) | 31日間 | 6,000+ |
| DMM TV | × | ¥550(税込) | 14日間 | 6,300+ |
| Netflix | × | ¥890〜(税込) | なし | 1,600+ |
| Hulu | × | ¥1,026(税込) | なし | 2,900+ |
| Disney+ | × | ¥1,250〜(税込) | なし | 500+ |
よくある質問
まとめ
『鬼平〜その男、長谷川平蔵〜』は現在、主要な定額制動画配信サービスでの配信は確認されていません。視聴を希望する場合は、DVDレンタルや購入、または各種VODサービスでの単品販売の有無を個別にご確認いただくことをおすすめします。池波正太郎ファンや時代劇好きの方には、ぜひ手に取っていただきたい一作です。