サカサマのパテマ

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2013サカサマのパテマ

サカサマのパテマ

★ 3.9 / 5.0冒険ラブコメSF
放送年2013年
フォーマット劇場版
話数1話
原作オリジナル
制作Purple Cow Studio Japan

地下世界のトンネルが張り巡らされた暗く狭い空間でも、人々は防護服を着て静かで充実した生活を送っている。地下村の姫君パテマは、トンネル探検が大好きだ。最も気に入っているのは、村が立ち入りを禁止している「危険地帯」である。叱られても、パテマの好奇心は止められない。

目次

作品概要・あらすじ

あらすじ

地下世界で暮らす少女パテマは、迷路のように入り組んだトンネルを探検することが大好きな姫君。村が禁じる「危険地帯」にも臆せず足を踏み入れ、好奇心のままに進んでいった彼女は、ある日突然、地上の世界へと落下してしまう。そこで出会ったのは、地上に生きる少年・エイジ。しかしパテマにとって、地上は「落ちていく」場所だった——重力が逆さまの彼女と、普通に地を踏むエイジ。正反対の二人は、互いに手を取り合いながら、この世界の謎に立ち向かっていく。

みどころ・魅力

① 「逆さまの重力」が生む、唯一無二のビジュアル体験

パテマにとって空は「奈落」であり、地面は「天井」だ。逆さまに映る世界を二人が共有するシーンの映像設計は圧倒的で、観ているこちらの感覚までひっくり返される。どちらが「正しい重力」なのかという問いが、物語の核心へと静かに深まっていく。

② 互いを支え合う、純粋で切ないボーイ・ミーツ・ガール

エイジがパテマを落ちないよう抱きしめる構図は、そのまま「守る」という感情の可視化だ。言葉より先に体で信頼を示す二人の関係性は、ベタな恋愛描写を排しながらも胸に刺さる。閉塞した世界の中で芽生える絆の温度が、物語全体を優しく包んでいる。

③ SFとして骨太な世界観と、ラストの解放感

「なぜ逆さまの人間が存在するのか」という謎は、単なるファンタジー設定に留まらず、支配と歴史の歪みへと接続されていく。世界の真実が明かされるクライマックスは伏線の収束と解放感が同時に押し寄せ、90分という尺に凝縮された完成度の高さを実感できる。

キャスト・声優一覧

エイジ
エイジ
メイン
岡本信彦
パテマ
パテマ
メイン
藤井ゆきよ
ジィ
ジィ
サブ
ふくまつ進紗
ポルタ
ポルタ
サブ
大畑伸太郎
エイイチ
エイイチ
サブ
カホ
カホ
サブ
内田真礼
イザムラ
イザムラ
サブ
土師孝也
ジャク
ジャク
サブ
安元洋貴
ラゴス
ラゴス
サブ
加藤将之
加藤将之

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スタッフ

監督吉浦康裕
原案キャラデザ茶山隆介
キャラクターデザイン又賀大介
音楽大島ミチル
美術監督金子雄司
音響監督山岡晃
EDエステル・ミショー「Patema Inverse」

関連作品

アニメ

書籍

トレーラー・MV

▲ 公式トレーラー(公式YouTube)

OP・ED

ED

感想・評価

最初に見たとき——第一印象と、見ることになったわけ

吉浦康裕、という名前で手が伸びた。『イブの時間』を好きな人間なら、この監督が「世界の見え方そのものをひっくり返すことへの執着」を持っていることは知っている。だから2013年の劇場公開時には迷わず映画館に行った。

最初の30分は、正直なところ「雰囲気映画かな」と思っていた。地下世界の薄暗い廊下、なんとなく息苦しい管理社会の描写。でも、パテマとエイジが初めて出会うあのシーンで一気に引き込まれた。「重力が逆」という設定は事前に知っていたのに、実際に映像で見ると想像以上の衝撃がある。スクリーンのサイズがそのまま「どちらが上か」という認識を揺さぶる武器になっていた。

2回目に見たとき気づいたのは、ファーストカットから世界の構造のヒントが埋め込まれていること。1回目は「へんな世界だな」と流していたものが、後半の真相を知った目で見ると全部意味を持って見えてくる。こういう作りをされると、どうしても繰り返し見たくなる。

「正しい方向」を決めているのは、権力だという話

重力が逆さまになった人間が出てくるSF、と聞けば「ギミックが面白い一発ネタ」と思う人もいるかもしれない。でもこの映画が本当に描いているのは、「上と下を誰が決めているか」という問いだ。

イザムラという支配者は「空に落ちる者は罪人だ」と民衆に教え込んでいる。パテマたちのような重力逆転の人々を「シンナー」と呼んで排除する。彼の論理のなかでは、自分たちの重力方向こそが「正常」であり、それと異なるものは恐怖の対象以外の何者でもない。

ここが怖いのは、その論理が完全に自己完結している点だ。「落ちる者は危険」という認識が世代を超えて刷り込まれれば、それはもはや事実と区別がつかなくなる。土師孝也の演じるイザムラがただの悪役に見えないのは、彼が「信じ込まされた者」でもあるからだと思っている。単純な権力の悪というより、教義を内面化した者の怖さを土師さんの声がよく体現している——低く、確信に満ちていて、少しだけ哀れな響き。

エイジとパテマの関係が象徴的なのは、彼らがお互いを支え合わないと「落ちる」という物理的な事実を持つ点だ。どちらかが手を離せば、どちらかが空へ消える。その構造が、「異なる者と共存することでしか生き残れない」というテーマを説教くさくなく伝えている。吉浦監督は『イブの時間』でも似たことをやっていた——対話しないと何も動かない、という状況を作ることで、テーマを台詞ではなく設定で語る。

岡本信彦演じるエイジは、管理された社会のなかで「外を見ること」を禁じられた少年だ。禁止されているほど見たくなる、という思春期の普遍的な感情を岡本さんは過剰にならずに出していて、だからこそ物語の前半は「普通の少年の話」として地に足がついている。それが後半、世界観の崩壊に巻き込まれていくときの振れ幅の大きさにつながっている。

「正しい方向」なんてものは、誰かが恣意的に決めた座標系にすぎない。この映画はそれを、SFの文脈で、でも痛みを持って見せてくる。

特に刺さったシーン

終盤、エイジとパテマが互いの「上」を共有するシーンがある。どちらが正しい向きかではなく、ふたりでいれば落ちないという事実だけを頼りに動いているあの瞬間。藤井ゆきよのパテマは、それまでの不安な声のトーンが一瞬だけ落ち着く。言葉は少ないのに、「決意した」ということが声だけで伝わってくる。藤井さんはわりと芯のある声質で、か細い不安よりも「怖いけど前に進む」というニュアンスを乗せるのが上手い。パテマというキャラクターと合っていた。

あと、内田真礼演じるカホが、エイジに対してごく短い場面で見せる「信じている」という態度が地味に効いている。主役ふたりのドラマに対してサポートに回りながら、消えない存在感がある。内田さんはああいう「芯はあるけど出しゃばらない」ポジションが本当にうまい。

映画館の音響で見ると、地下空洞の反響音の設計が思っていた以上に丁寧なことに気づく。画面が小さいと埋もれるディテールが、スクリーンと音響込みで初めて完成する映画だと思っている。

読んで見たくなったら——『サカサマのパテマ』はdアニメストアで視聴できる(31日間無料)。

この作品が刺さる人・合わない人

刺さりやすい人

  • 『イブの時間』が好きで、吉浦康裕の「設定でテーマを語る」スタイルに乗れる人
  • SF設定に乗っかって考察したくなるタイプ——世界の構造について後から友人と話したくなる
  • 管理社会・ディストピア描写が好きだが、重くなりすぎない塩梅を求めている人
  • ふたりの関係性がゆっくり育っていく過程を見ていられる人

合わない可能性がある人

  • 展開のテンポを重視する人——前半はかなり静かで、状況説明に時間をかける
  • アクション・バトル目当てで見ると肩透かしをくらう。冒険とはあるが、静的な映画だ
  • ラブコメ要素に期待しすぎると薄く感じるかもしれない。感情の機微を映像で読むタイプの作品
  • 世界設定の「なぜそうなったか」を詳細に説明してほしい人——意図的に余白が多い

次に見るなら

イブの時間(劇場版)——同じ吉浦康裕監督作。ロボットと人間の境界線という別テーマだが、「対話しないと何も動かない」という構造は共通している。こちらのほうがセリフ劇の比重が高く、見やすさでは上かもしれない。パテマが好きなら必ず見ることになる一本。

天空の城ラピュタ——地下から来た少女と外の世界の少年、という構図の遠い親戚。スケール感とエンタメ性は段違いだが、「禁じられた場所への好奇心」「権力が隠したかったもの」というテーマの共鳴がある。パテマの後に見ると、似た感触の部分と全く違う部分が面白く比較できる。

カラフル(2010年劇場版)——重力ではなく「視点そのものが入れ替わる」SF。世界の見え方が変わることで「正しい」「普通」という感覚が揺らぐ、という体験としてパテマと根っこが近い。こちらは現代日本が舞台で、より内省的な映画。

配信・視聴情報

サービス配信月額無料期間作品数
ABEMAプレミアムイチオシ×¥680〜(税込)無料あり1,000+
Amazonプライムビデオ×¥600(税込)30日間1,700+
クランクイン!ビデオ穴場×¥990〜(税込)最大1ヶ月7,000+
dアニメストア¥660(税込)31日間7,200+
U-NEXT¥2,189(税込)31日間6,000+
DMM TV¥550(税込)14日間6,300+
Netflix×¥890〜(税込)なし1,600+
Hulu×¥1,026(税込)なし2,900+
Disney+×¥1,250〜(税込)なし500+
『サカサマのパテマ』は現在、**dアニメストア**・**U-NEXT**・**DMM TV**の3サービスで配信中です。見放題プランに対応しているサービスもあるため、すでに契約している方はすぐに視聴できます。劇場版1本完結の作品なので、空き時間に一気見するのにもちょうどいい作品です。

よくある質問

Q. 原作はありますか?
A. 原作は吉浦康裕監督によるオリジナル作品です。2012年に短編アニメ「オモイデ in My Head」として試作が公開され、それを長編化する形で2013年に劇場公開されました。
Q. 子どもでも楽しめますか?
A. 映像の面白さは年齢を問わず楽しめます。ただし世界観の謎やディストピア的な背景設定は、中学生以上のほうがより深く味わえる内容です。家族で一緒に見て話し合うのにも向いています。
Q. 続編はありますか?
A. 劇場版1作のみで、現時点で続編は制作されていません。ただし物語は劇場版できれいに完結しているため、続編がなくても満足感を得られる構成になっています。
Q. どのくらいの長さですか?
A. 本編の上映時間は約99分です。テレビアニメ換算でおよそ4話分ほどの長さで、一気見しやすいボリューム感になっています。

まとめ

『サカサマのパテマ』は現在、**dアニメストア**・**U-NEXT**・**DMM TV**の3サービスで配信中です。見放題プランに対応しているサービスもあるため、すでに契約している方はすぐに視聴できます。劇場版1本完結の作品なので、空き時間に一気見するのにもちょうどいい作品です。

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この記事を書いた人

アニメの配信先を毎回調べているうちに、「もう自分でまとめた方が早いな」と思ってaniholicを始めました。アニメから入って、今はかなり声優ファン寄りです。Abema、dアニメ、Prime Video、Huluあたりを普段使っています。掲載情報は、できるだけ公式サイトを確認してから掲載しています。
ちなみに「aniholic」を深夜テンションで「アニ☆ホリ」と略したのですが、まさか昼に見た時こんなに恥ずかしいとは思いませんでした。今のところ修正予定はありません。

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