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星をかった日
| 放送年 | 2006年 |
|---|---|
| フォーマット | 劇場版 |
| 話数 | 1話 |
| 原作 | その他 |
三鷹のジブリ美術館でのみ上映される短編。架空の世界「イバラード」を舞台にしている。ノナが暮らす街では、時間局が市民の時間の使い方を監視している。時間を浪費したり誤って使用したりする者たちを指導する。ノナはこれに耐えられず家出する。彼は謎めいた女性に出会う。
作品概要・あらすじ
あらすじ
三鷹の森ジブリ美術館でのみ上映される短編作品。舞台は、画家・井上直久が生み出した幻想的な世界「イバラード」。この世界には「時間局」という組織が存在し、市民が時間をどのように使っているかを厳しく監視している。時間を無駄遣いしたり、誤った使い方をした者には指導が行われるが、そんな管理社会に息苦しさを覚えた少年ノナはある日家出を決意する。旅の途中で謎めいた女性と出会い、時間と自由の意味を問い直す物語。みどころ・魅力
① 幻想世界「イバラード」の唯一無二の映像美
本作の舞台となる「イバラード」は、画家・井上直久が長年描き続けてきた架空の世界。宮崎駿監督がその世界観に惚れ込んで映像化した作品で、独特の色彩と浮遊感あふれる建造物が生み出す風景は、既存のジブリ作品とも一線を画す夢幻的な美しさを持っている。② ジブリ美術館でしか観られない”体験型”短編
本作は一般の映画館や配信では公開されず、三鷹の森ジブリ美術館の土星座スクリーンでのみ上映される希少作品。美術館を訪れた人だけが観られるという特別感があり、入場チケットの取得難易度の高さも含めて、作品そのものが特別な体験として設計されている。③ 「時間の使い方」をめぐる静かな哲学
時間を管理・監視される社会というSF的設定を通じて、自由や自分らしい時間の過ごし方とは何かを静かに問いかける。説明的なセリフは少なく、イバラードの風景と短い対話だけで主人公の心情を描く演出は、宮崎監督の短編ならではの研ぎ澄まされた語り口となっている。キャスト・声優一覧


スタッフ
| 監督 | 宮崎駿 |
|---|---|
| 音楽 | 都留教博、中村由利子 |
感想・評価
最初に見たとき——第一印象と、見ることになったわけ
ジブリ美術館でしか上映されない、というだけで敷居が高い。チケットを取るのも一苦労で、行ける機会がある人間はある意味ラッキーな部類に入る。そういう「観ること自体がイベント」な短編を、初めて暗いシアターで観たときの感覚は独特だった。宮崎駿が描く「イバラード」という異世界が開幕して最初に思ったのは、「ああ、これは美術館の上映に合わせて作られた作品だ」ということ。大きな劇場向けのスペクタクルではなく、小さなシアターで膝を抱えて観るような、内向きの温度感がある。時間局という設定を聞いたとき、SFというよりもカフカっぽい不条理さを感じた。でも観ているうちにその印象は変わっていく。2回目に観ると、序盤の街並みの描き方に仕込まれている細部が全然違って見えた。
「時間を正しく使え」という管理の外に出て、初めて星が買える
「時間の使い方を監視される」という設定が、今観るとやたらと刺さる。時間局が市民を指導するというのは、わかりやすく言えば「生産性のない時間を排除しようとする社会」の話だ。そしてノナはそこから逃げ出す。
タイトルの「星をかった日」が意味するのは、たぶんお金の話ではない。経済的な交換では手に入らないもの——役に立たないもの、測定できないもの、時間局が「浪費」と呼ぶようなもの——を手に入れた日、という話だと思って観ていた。謎めいた女性との出会いは、その「測定できない価値」の象徴として機能している。
宮崎作品に繰り返し出てくるのは、「管理されない時間の中でしか本物のものを見つけられない」という直感だ。『千と千尋』でも、『風の谷のナウシカ』でも、主人公は管理された世界の外縁に立って、そこから一歩踏み出す。この短編はそのテーマを、劇場版長編の半分にも満たない尺で一気に圧縮している。長編と違うのは、結末がクリアな「勝利」ではない点だ。ノナが何かを手に入れたのは確かだが、それが何かは観た人間がそれぞれ持ち帰るしかない構造になっている。
ジブリ美術館という場所で観ることの意味も、ここに響いてくる。美術館に来ること自体、日常の時間管理から少し外れた行為だ。チケットを取って、電車に乗って、時間を「使いに来た」人間が座っているあの空間で、「時間を正しく使えと言われた少年が逃げ出す話」を観る。その文脈が、作品そのものを強化している。
特に刺さったシーン
終盤、ノナが謎めいた女性と対峙する場面の空気が忘れられない。それまで街の描写がやや閉塞感のある色調で統一されていたのに対して、そのシーンだけ光の入り方が変わっている。空間が急に広くなったように感じるのは、作画の話でもあるし、音響の話でもある。小さなシアターの音響だからこそ、環境音の細かい変化がそのまま体に届いてくる感覚があった。
ノナが選択をする瞬間——家出した先でさらに何かを選ぶ、その二重の逸脱——は、セリフより先に絵と音が説明してしまう。宮崎作品の声の演出はいつもそうで、キャラクターが何かを言う前に、観ているほうはもうわかってしまっている。その「わかってしまう」瞬間の気持ちよさが、この短編にも確かにある。
この作品が刺さる人・合わない人
刺さる人
- 宮崎駿の「長編ではやれないこと」に興味がある人
- ジブリ美術館に行く機会があって、短編上映が目的のひとつになっている人
- 管理社会・時間監視というテーマにピンとくる人(カフカやル=グウィンが好きな層)
- 「イバラード」の世界観、井上直久の絵が好きな人
- 結末が明確に解決しない話でも受け取れる人
合わない人
- 20分前後の短編にジブリ長編と同じ満足感を求める人
- SFとして設定の整合性を追いたい人(この作品はその方向ではない)
- 配信や円盤でいつでも観られる形を希望する人(現状ジブリ美術館の現地上映のみ)
- 「謎めいた女性との出会い」が明確に説明されることを期待している人
次に見るなら
On Your Mark(1995年、宮崎駿)——チャゲ&飛鳥のMV用に作られた約8分の短編。管理された世界から翼を持つ少女を解放しようとする2人の話で、「管理の外に出る」というテーマが最もダイレクトに重なる。宮崎の短編仕事のなかで最もカルト的な評価を持つ作品で、観ていない人はまず探してほしい。
パーフェクトブルー(1997年、今敏)——管理・監視・逸脱というテーマを共有しながら、まったく違う方向に振り切った作品。「正しく生きることを求められた人間が崩れていく」話として、『星をかった日』の穏やかな逸脱と対比で観ると面白い。短編の余白が気になった人に、その余白を別の角度から埋めてくれる。
カミロの自転車(2001年、Juan Pablo Zaramella)——ジブリ美術館の短編プログラムと同種の「小さいシアターで観る映画体験」を知りたい人向けに。短編アニメーションのフォーマット自体に興味が出てきたなら、世界の短編作品に目を向けるきっかけとして。
配信・視聴情報
| サービス | 配信 | 月額 | 無料期間 | 作品数 |
|---|---|---|---|---|
| ABEMAプレミアムイチオシ | × | ¥680〜(税込) | 無料あり | 1,000+ |
| Amazonプライムビデオ | — | ¥600(税込) | 30日間 | 1,700+ |
| クランクイン!ビデオ穴場 | × | ¥990〜(税込) | 最大1ヶ月 | 7,000+ |
| dアニメストア | × | ¥660(税込) | 31日間 | 7,200+ |
| U-NEXT | × | ¥2,189(税込) | 31日間 | 6,000+ |
| DMM TV | × | ¥550(税込) | 14日間 | 6,300+ |
| Netflix | — | ¥890〜(税込) | なし | 1,600+ |
| Hulu | — | ¥1,026(税込) | なし | 2,900+ |
| Disney+ | — | ¥1,250〜(税込) | なし | 500+ |
よくある質問
まとめ
『星をかった日』は現在、動画配信サービスでの配信は行われていません。鑑賞するにはジブリ美術館の入場チケットを入手して現地を訪れる必要があります。チケットは毎月ローソンチケットにて抽選販売となっており、早めのスケジュール確認をおすすめします。