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いぬやしき
| 放送年 | 2017年 |
|---|---|
| フォーマット | TVアニメ |
| 話数 | 11話 |
| 原作 | 漫画 |
| 制作 | MAPPA |
犬屋敷一郎は不幸な男だ。58歳だが老けて見え、世間からは哀れな老人と見なされ、家族からも見下されている。医者からは癌で余命が少ないと告げられた。だがその時、謎の光に包まれて彼は死ぬはずだった。何か異常な力が彼の体に目覚めようとしていた。
作品概要・あらすじ
あらすじ
58歳の犬屋敷壱郎は、老け顔で家族からも軽んじられ、社会からも疎外された冴えない男。ある日、医師から余命宣告を受け打ちひしがれた帰り道、謎の爆発に巻き込まれ命を落とす。しかし気づけば体は生きていた――機械の体に作り変えられて。同じ事故で同様の力を得た高校生・獅子神皓と、まったく異なる目的のためにその力を使い始めた二人の運命が交錯する。みどころ・魅力
① 「何者でもない男」が主人公という圧倒的な新鮮さ
若くもなく、才能もなく、家族にすら存在を軽視される58歳の男が超人的な力を手に入れる。ヒーローものの主人公像を根底から覆す設定が、物語に独特のリアリティと感情的な重みをもたらしている。壱郎が力を使うたびに滲み出る不器用な優しさが胸を打つ。② 対照的な二人の使い方が生む善悪の問い
同じ力を持ちながら、壱郎は人を救うために、獅子神は人を傷つけるために使い始める。どちらが「正しい」かという単純な二項対立に落とし込まず、それぞれの孤独と動機を丁寧に描くことで、善悪の境界線について深く考えさせられる構成になっている。③ 奥浩哉原作ならではの容赦ない暴力描写と感情の振れ幅
『GANTZ』で知られる奥浩哉の作風そのままに、暴力シーンは苛烈で目を背けたくなるほど。しかしその残酷さがあるからこそ、壱郎の一つひとつの救済行為が際立って輝く。残酷と温かさの落差が激しく、感情を大きく揺さぶられる全11話となっている。キャスト・声優一覧























スタッフ
| 監督 | 籔田修平 |
|---|---|
| シリーズ構成 | 瀬古浩司 |
| キャラクターデザイン | 恩田尚之 |
| 音楽 | 池頼広 |
| 美術監督 | 中村豪希 |
| OP | マン・ウィズ・ア・ミッション「My Hero」 |
| ED | クアイフ「愛を教えてくれた君へ」 |
トレーラー・MV
▲ 公式トレーラー(公式YouTube)
OP・ED
OP
ED
感想・評価
最初に見たとき——第一印象と、見ることになったわけ
「おじさんがサイボーグになる話」という説明を聞いたとき、正直なところ、ちょっと笑った。わかりやすすぎて、逆に気になってしまったのだ。SF設定の複雑さで煙に巻くのではなく、「58歳の冴えない男がロボットになる」という一文で全部説明できる潔さ。それで手を伸ばした。
最初に見たときは、どちらかというと犬屋敷一郎の造形——家族に空気扱いされ、職場でも影が薄く、医者に余命を告げられても誰にも相談できない——その徹底した「透明人間」ぶりに、笑えない既視感を覚えながら見ていた。2回目を通したとき気づいたのは、序盤の描写がいかに丁寧に「この人の存在を世界が値踏みしているか」を積み上げているかということで、その蓄積があるから中盤以降の展開が刺さる。
誰にも見えていなかった人が、誰かを救えるようになる話
この作品を単純な「ヒーロー誕生もの」として読むと、おそらく半分も受け取れない。犬屋敷一郎とシシガミ獅郎は同じ事故で同じ体を手に入れる。与えられた力は同一だ。なのに一方は人を救い、一方は人を殺す。その分岐点はどこにあるのか——というのが、この作品が11話かけて問い続けていることだと思う。
答えとして作品が提示しているのは、「人間性」といった抽象的な話ではなくて、もっと具体的な「誰かに必要とされた経験があるかどうか」に近い何かだ。犬屋敷には、不器用ながらも愛でてくれた犬がいた。家族に軽んじられながらも、自分なりに「よい父親」であろうとした歴史がある。シシガミにはそれがなかった——というより、あったとしても傷のほうが深かった。
面白いのは、この構図が「善人vs悪人」という単純な二項対立になっていない点だ。シシガミは「共感できる怪物」として描かれ、犬屋敷は「弱い善人」として描かれる。どちらも理想のヒーロー像からは程遠い。それでも犬屋敷が積み上げていくものに、見ているこちらが引っ張られていく感覚がある。
上坂すみれが演じる娘・麻理の存在が、この構図においてかなり重要な役割を果たしている。最初は父親を恥ずかしいと思っている普通の女子高生が、少しずつ父親の変化に気づいていく。上坂すみれはそのグラデーションを、セリフの密度より「間」で演じている印象があって、2回目に見ると序盤からすでに何かを察知しかけている芝居が随所に入っていることに気づく。
「おじさんがサイボーグになる」という設定のわかりやすさは、この作品においては強度だ。難解な設定で視聴者を試す必要がない分、人間ドラマの細部に集中できる。58歳という年齢設定も意図的で、「もう遅い」と感じている人間が持つ静かな諦念と、それでも何かを変えようとするときの不格好な本気が、この年齢でないと出ない。
特に刺さったシーン
序盤、犬屋敷が初めて自分の力を「誰かのために」使う場面がある。偶然出会った老人に触れ、病を治してしまうシーン。犬屋敷本人も何が起きたか理解しきれていない状態で、それでも老人の表情の変化を見て、ぼんやりと「自分は何かできるかもしれない」と気づいていく。派手な演出は何もない。でもあの静けさが、この作品のトーンを決定づけた気がした。
もう一つ、中盤の飛行機をめぐる展開。あそこで犬屋敷が見せる「間に合うかどうかわからないまま全力で動く」姿は、ヒーローらしくない意味でヒーローだった。諸星すみれ演じる渡辺しおんが、その一件を通じて犬屋敷の存在に引き寄せられていく流れも自然で、しおんというキャラクターが「目撃者」としてだけでなく物語の中に入り込む瞬間として機能している。諸星すみれの声には、好奇心と怖れが同居するような独特の質感があって、しおんの二面性と噛み合っていた。
朝井彩加が演じる息子・剛史は台詞量が多くないが、父親を無視していた側の人間が何かに気づく瞬間の芝居に、妙に重みがあった。説明しすぎない演技の選択だと思う。
読んで見たくなったら——『いぬやしき』はdアニメストアで視聴できる(31日間無料)。
この作品が刺さる人・合わない人
刺さると思う人
- 「社会から見えていない中年男性」という属性に何らかのリアリティを感じる人
- 勧善懲悪より「善人が不器用に善いことをする」話のほうが好きな人
- 原恵一監督ではないが、ああいう「地味な人間が主役」系のアニメが好きな人
- バイオレンス描写があっても、その先にある感情の話が読み取れる人
合わないかもしれない人
- 暴力・殺傷描写が苦手な人(シシガミパートはかなり直接的)
- スッキリしたカタルシスを求めている人(終盤の展開は賛否ある)
- 全11話という短さに対して「説明不足」と感じる可能性がある人(原作の密度を知っていると特に)
- 「おじさん」への共感回路がそもそもない人(設定の入口が狭い)
次に見るなら
「人間の体が変容し、それでも何かを守ろうとする」という構造が好きなら、寄生獣 -セイの格率-は外せない。こちらは高校生が主人公で、犬屋敷とは正反対の年齢設定だが、「体の一部が別の存在に置き換わる」ことで問われる「人間であること」の問いは同じ水脈にある。
シシガミのような「感情の回路が壊れた若者」の造形に引っかかりを覚えたなら、亜人も見ておいて損はない。不死の存在として社会から追われる主人公と、それを利用しようとする側の構図が、いぬやしきのシシガミ問題と別の角度から重なる。
もう少し落ち着いたトーンで、「普通の人が非日常に飲み込まれながらも人間関係を守ろうとする」話が見たいなら、デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション。SF設定の規模は大きいが、描いているのは結局ふたりの女の子の話で、日常の手触りを大切にしている点がいぬやしきと近い。
配信・視聴情報
| サービス | 配信 | 月額 | 無料期間 | 作品数 |
|---|---|---|---|---|
| ABEMAプレミアムイチオシ | × | ¥680〜(税込) | 無料あり | 1,000+ |
| Amazonプライムビデオ | ¥600(税込) | 30日間 | 1,700+ | |
| クランクイン!ビデオ穴場 | ¥990〜(税込) | 最大1ヶ月 | 7,000+ | |
| dアニメストア | ¥660(税込) | 31日間 | 7,200+ | |
| U-NEXT | ¥2,189(税込) | 31日間 | 6,000+ | |
| DMM TV | ¥550(税込) | 14日間 | 6,300+ | |
| Netflix | × | ¥890〜(税込) | なし | 1,600+ |
| Hulu | × | ¥1,026(税込) | なし | 2,900+ |
| Disney+ | × | ¥1,250〜(税込) | なし | 500+ |
よくある質問
まとめ
『いぬやしき』はdアニメストア・U-NEXT・Amazonプライムビデオ・DMM TVで配信中のため、主要な動画配信サービスで手軽に視聴できる。月額サービスに加入済みであれば追加費用なく全話楽しめる環境が整っている。どのサービスでも視聴可能なため、すでに契約しているプラットフォームからそのまま視聴を始めるのがおすすめだ。
