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ねこひきのオルオラネ
| 放送年 | 1992年 |
|---|---|
| フォーマット | OVA |
| 話数 | 1話 |
| 原作 | その他 |
| 制作 | J.C.STAFF |
休暇の季節、若い男性が路地裏で酔っぱらった猫に出会う。その猫は老人のもので、老人は三匹の猫を歌うように訓練していた。
作品概要・あらすじ
あらすじ
休暇の季節、若い男性が路地裏をさまよっていると、酔っぱらった一匹の猫と出会う。その猫は、街外れに住む老人が大切に育てた三匹の猫のうちの一匹だった。老人は長年にわたり、その猫たちに歌を教え込んでいた。偶然の出会いから始まる、人と猫と音楽が交わる不思議で温かな物語。
みどころ・魅力
① 歌う猫たちが紡ぐ幻想的な音楽世界
本作最大の特徴は、老人によって歌を仕込まれた三匹の猫たちの存在です。ファンタジーとミュージカル要素が融合した独特の世界観は、1992年制作ならではのアナログ的な温かみある映像表現と相まって、観る者を不思議な余韻へと誘います。
② 路地裏から始まる偶然の縁
酔っぱらった猫との邂逅という、思わず笑みがこぼれる冒頭のシチュエーションが、物語全体のユーモラスかつ詩的なトーンを決定づけています。日常の隙間に潜むファンタジーという設定が、短編OVAという尺の中で凝縮されて描かれています。
③ 老人と猫が語る、静かな愛情の物語
猫たちを歌うように育て上げた老人の姿を通じて、生き物への深い愛情と長い時間の積み重ねが伝わってきます。派手なアクションや複雑なストーリーではなく、人と動物の絆を静かに、丁寧に描いた作風が本作の魅力です。
キャスト・声優一覧














スタッフ
| 監督 | 西久保瑞穂 |
|---|---|
| 原作 | 夢枕獏 |
| 原案キャラデザ | 皆川幸輝 |
| キャラクターデザイン | 村田俊治 |
| 音楽 | 百石元、澤謙、石川Kanji |
| 美術監督 | 小林七郎 |
| OP | ラバート・サミュエルズ「Hearts in Harmony」 |
| ED | 「River of Time」 |
感想・評価
最初に見たとき——第一印象と、見ることになったわけ
タイトルだけ見て、しばらく意味がわからなかった。「ねこひき」って何だ。猫を轢く人なのか、猫を弾く人なのか。オルオラネって誰だ。調べようにもほとんど情報が出てこない。1992年のOVAで、配信もほぼなく、DVDを手に入れるしかない。そういう作品に限って、見始めると妙に引っかかる。
路地裏で酔った猫に出会う若者、という入り口は思ったよりずっとフラットで、「これはどこへ向かうんだ」と思ったまま終わった。初見では何をつかまされたのか正直わからなかった。2回目に見て、ようやく老人と猫と若者の三角関係みたいなものが輪郭を持って見えてきた。謎の作品、という評は正直なところだと思う。でも謎のまま終わらせない何かが、確かにあった。
歌うように生きること——誰かに仕込まれた「声」と、自分の「声」の話
表向きの話は単純だ。老人が三匹の猫を歌うように訓練している。若者がその老人と猫に出会う。それだけといえばそれだけの作品だ。でもこのOVAが面白いのは、「歌わせる側」と「歌う側」の関係が、思ったほど一方向じゃないことだと思う。
猫は訓練されて歌うようになる。でも訓練された歌と、本来持っていた声の区別はどこにあるのか。老人は猫に歌を教えているのか、猫の中にある何かを引き出しているのか。銀河万丈が演じるオルオラネ(老人)の声には、単なる「師匠」にはない、何か執着めいた質感がある。あの声でぼそりと猫に向かって話しかけるシーンの重さは、1992年のアニメとは思えないほど現代的な感触を持っている。
関俊彦が演じる若者(「ぼく」としか呼ばれない)が路地裏でこの光景に出くわすのは、偶然の形をとった必然だ。彼も何かを探しているか、何かを失っているか、あるいはそれを自覚すらしていない。酔った猫との遭遇という奇妙な入り口から、気づいたら「自分はどんな声を持っているのか」という問いの前に立たされている。
林原めぐみが声を当てるイルイネドというキャラクターは、この「声をめぐる問い」をさらに複層的にする。林原めぐみがこの時代に持っていた声の密度——どこか乾いていて、でも感情の芯が折れない——は、この作品の湿度とちょうどよく釣り合っている。
単なる「人間と動物の交流」ではなく、「誰かに整えられた自分」と「整えられる前の自分」の間にある裂け目の話として読むと、このOVAはかなり奇妙な深度を持ち始める。謎の作品、というのはそういう意味でも正しい。
特に刺さったシーン
猫が初めて歌声を出す場面。音として聞こえてくるその瞬間の、若者の反応のなさが妙に好きだった。普通なら驚く。驚いて当然だ。でも関俊彦の演技はそこを「普通じゃない静けさ」で処理していて、驚きをすでに通り過ぎた人間みたいな空気感がある。2回目に見てその判断が意図的だと気づいて、この作品への見方が変わった。
銀河万丈のオルオラネが猫たちに語りかける終盤のシーンは、声の情報量がすごい。セリフとしては短い。でも「長い時間をかけてここまで来た人間の声」というのが、テクニカルな演技の説明を抜きにして伝わってくる。70本以上の出演作を持つ声優が1992年に発揮していた重力みたいなものを、今の耳で聞くと改めて実感する。
読んで見たくなったら——サブスク配信はなし。Amazonで購入できる。
この作品が刺さる人・合わない人
刺さる人
- 1990年代初頭のOVA文化が好きで、今の基準で「整っていない」作品に価値を見出せる人
- 声優の演技を作品理解の軸にしている人(銀河万丈・林原めぐみ・関俊彦のこの時代の仕事が好きなら間違いなく)
- 音楽・歌をモチーフにしたファンタジーが好きで、ストーリーよりも「空気」に乗れる人
- 情報の少ない作品を自分で掘り起こすこと自体に楽しさを感じるタイプ
合わない人
- 明快なストーリーラインと解決を求める人(この作品はそういう設計ではない)
- 配信で気軽に見たい人(Amazon DVDを購入するか、相当な手間をかけないと見られない)
- 30分に満たない短編OVAに対してボリューム感を期待する人
次に見るなら
魔法のランプ レインボーブライト——という方向ではなく、同じ時代の「小さいファンタジー」として綿の国星を挙げたい。猫が人間と関わる話という入り口は近いし、1984年という時代の手書きの線が持つ温度が「ねこひきのオルオラネ」とどこか地続きに感じられる。「猫を通して何かを見る」という視点がある人には響く。
彼女と彼女の猫——新海誠の初期短編。こちらは10分に満たない作品だが、「語り手が人間ではない」構造と、音に対する繊細な意識が共鳴する。「ねこひきのオルオラネ」で感じた静かな乾いた余韻が好きなら、こちらも同じ場所に連れていってくれる。
耳をすませば——歌・音楽・何者でもない若者の時間、という三要素で重なる。こちらはジブリの整えられた文法で語られるぶん、「ねこひきのオルオラネ」とは質感が違う。でも「声で何かを伝えようとする人間の話」として並べると、両方の輪郭が少し鮮明になる。
配信・視聴情報
| サービス | 配信 | 月額 | 無料期間 | 作品数 |
|---|---|---|---|---|
| ABEMAプレミアムイチオシ | × | ¥680〜(税込) | 無料あり | 1,000+ |
| Amazonプライムビデオ | — | ¥600(税込) | 30日間 | 1,700+ |
| クランクイン!ビデオ穴場 | × | ¥990〜(税込) | 最大1ヶ月 | 7,000+ |
| dアニメストア | × | ¥660(税込) | 31日間 | 7,200+ |
| U-NEXT | × | ¥2,189(税込) | 31日間 | 6,000+ |
| DMM TV | × | ¥550(税込) | 14日間 | 6,300+ |
| Netflix | — | ¥890〜(税込) | なし | 1,600+ |
| Hulu | — | ¥1,026(税込) | なし | 2,900+ |
| Disney+ | — | ¥1,250〜(税込) | なし | 500+ |
よくある質問
まとめ
現在、本作は国内外の公式配信サービスでの配信は確認されていません。視聴を希望する場合は、中古ソフトや図書館・フィルムライブラリーといった手段での入手が現実的な選択肢です。1992年制作の希少なOVAですので、見つけた際はお早めにご確認されることをおすすめします。