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絶愛ー1989ー
| 放送年 | 1992年 |
|---|---|
| フォーマット | OVA |
| 話数 | 1話 |
| 原作 | 漫画 |
| 制作 | MADHOUSE |
ロックスター南条浩二は、サッカー選手・泉拓人に恋をする。浩二は、拓人の母親が激しい愛情から父親を殺したことを知る。拓人は父親殺害の全責任を負い、過去がメディアに暴露されることを恐れてプロ転向を拒否している。拓人は浩二の付き添いと励ましを嫌い、メディアからの注目にも強く不快感を示す。
作品概要・あらすじ
あらすじ
人気ロックスターの南条浩二は、サッカー選手・泉拓人に激しく恋をする。しかし拓人には誰にも言えない過去があった。母親が狂おしい愛情のあまり父親を殺め、その罪の全責任を一人で背負ってきた拓人は、過去がメディアに暴かれることを恐れ、プロへの道を自ら閉ざしていた。強引に近づこうとする浩二を拒絶し続ける拓人。それでも浩二は、彼への想いを諦めない。
みどころ・魅力
① 「愛に壊される」という連鎖の構図
母が愛ゆえに父を殺したという衝撃的な過去が、拓人の人格そのものを縛っている。「愛されること」への恐怖と、浩二の一途すぎる執着が交差する物語構造は、単純なラブストーリーに留まらない重さと緊張感をもたらしています。
② 対照的な二人が引き寄せられる磁力
脚光を浴びるロックスターと、影を背負いメディアを拒絶するサッカー選手という対比が際立っています。相容れないように見える二人の距離が少しずつ縮まっていく過程に、90年代BL作品ならではの息詰まるような引力が凝縮されています。
③ 1992年OVAならではの濃密な作画と演出
バブル期後の90年代初頭に制作された本作は、線の密度が高くエモーショナルな作画が特徴的です。限られた尺の中に感情の機微を詰め込んだ演出は、当時のOVAクオリティを体感できる貴重な一本です。
キャスト・声優一覧








スタッフ
| 監督 | 遠藤卓司 |
|---|---|
| キャラクターデザイン | 青木哲朗 |
| 音楽 | 川井憲次 |
| 美術監督 | 上原伸一 |
| 音響監督 | 本田保則 |
| OP | 「予兆」 |
| ED | 「血」 |
感想・評価
最初に見たとき——第一印象と、見ることになったわけ
「BLの古典」という文脈で名前は知っていた。泉拓人と南條晃司、この二人の名前はBL史の流れを語るときに必ず出てくる。ただ1992年のOVAで、配信が今どこにもない。見ること自体がまず関門で、そこを越えるまでに時間がかかった。
はじめて見たとき、まず絵の密度に驚いた。ロックスターの南條という設定が、ここまでストレートに「絵になる男」として描かれているとは思っていなかった。速水奨の声が乗ると、それがさらに増幅される。低く、粘度のある声が、南條の感情の重さをそのまま体現している。
2回目以降で気づいたのは、速度感だ。OVAだから尺が短い。その短さのなかで感情の密度を保つために描写がかなり圧縮されていて、初見では「展開が早い」と感じた部分が、2回目には「これは意図的な省略だ」と見えてくる。TVシリーズの補完でも外伝でもなく、この物語はここから始まる一本完結のOVAだが、見終わった後に続きを探したくなる作りになっている。
愛の暴力性は、親から子へと受け継がれる
この作品の核心は「BLの恋愛物語」ではなく、愛情が持つ破壊性——しかもその破壊性が世代を超えて伝染するという、かなり重い命題にある。
泉拓人の母親は、激しい愛情から父親を殺した。拓人はその「過去」を背負い続けている。プロ転向を拒否しているのはメディアに晒されることへの恐怖からだが、その根っこにあるのは「愛されることへの恐怖」だ。愛されることが、自分の出自を暴かれることに直結してしまっている。
南條がまた、厄介な相手で、ロックスターという社会的に可視性の高い存在として拓人に関わってくる。南條が拓人に近づくことは、そのまま拓人の過去をメディアにさらすリスクになる。愛の行為が、愛される側にとっては脅威になる。
母親が父親を愛したように、南條は拓人を愛する。その愛の形がどこか似ている——強烈で、相手の意志を圧倒しようとする種類の愛情として。拓人が南條の付き添いを嫌がるのは、単純な拒絶ではなく、「この愛の重さを知っている」という恐怖からくる反応だ。
この構造を子安武人が演じることで、拓人の「嫌がり方」に奇妙なリアリティが出る。大声で叫ぶ芝居ではなく、静かに固まっていく芝居。引き寄せられながら同時に怖がっているという矛盾した感情を、子安は抑制したトーンで積み上げていく。それが余計に重い。
1992年という時代のBL作品として見ると、この命題の重さは異例だと思う。当時の少女漫画・BLの流れのなかで、「愛情は暴力性を持つ」という認識をこれほど正面から描いた作品は少ない。南條という存在は美しく描かれているが、その愛の形は本質的に暴力性を帯びている。作品はそれを批判的に描くのではなく、ある種の必然として描く——ここに古典としての毒がある。
特に刺さったシーン
終盤、拓人が過去を打ち明ける流れ。ここで子安武人の芝居が急に変わる。それまで抑えていたものが少しずつ解けていく瞬間で、声の質が変わる——固さが崩れるというより、固さを保つのをやめる感じ。聞いていてわかる、その変化が。
速水奨の南條が、そこで何も言わずにいる対照的な場面。速水奨のサイレントな芝居は、声の力よりも「声を出さないこと」で感情を作れる数少ない人だとあらためて思った。台詞がある場面より、台詞のない場面のほうが南條の重さが出る。
山口勝平の渋谷克巳は、この二人の間にある種の「外気」として機能している。山口勝平が演じると、どんな役でも人間的な温度が出るので、拓人と南條の間の空気が重くなりすぎたときに換気口として機能する。あの声のニュアンスがないと、この作品はもっと息が詰まっていたと思う。
この作品が刺さる人・合わない人
刺さる人
- BL史・やおい史に興味があり、1990年代初頭の「古典」を実際に見ておきたい人
- 速水奨・子安武人・山口勝平の全盛期の仕事を声優ファンとして押さえたい人
- 純愛的な甘さより、愛情の重さや緊張感を軸にした作品が好きな人
- 短い尺のなかに密度の高い感情描写が詰まっているOVAが好きな人
合わない人
- 現代BLの「関係がサクサク進む」テンポ感に慣れていると、この重さと遅さは合わないかもしれない
- 配信が現状どこにもないため、視聴手段を確保する手間を考えると現実的なハードルは高い
- 1990年代の作画・演出を時代の様式として受け取れない人には厳しい
- 「愛されたい側の心理」より「一方的に愛する側の熱量」を描く作品が苦手な人
次に見るなら
BRONZE/ゼツアイは、この作品の後日談にあたるOVA。南條と拓人のその後が描かれる。絶愛-1989-を見た直後に続けて見るべき作品で、こちらも配信はないが、セットで押さえておきたい。世界観の解像度がぐっと上がる。
哀しみのベラドンナは毛色が全然違うが、1970年代の作画で「愛の暴力性」をここまで描ける、という意味で通底するものがある。絶愛-1989-で感じた「美しさと破壊性が同居する作品」が好きなら、ルーツとして見ておく価値はある。
FAKE(1996年OVA)は、BL古典のなかでは比較的入りやすい作品。絶愛-1989-ほど重くなく、感情の密度より関係の展開を楽しみたいときに。90年代BLのOVA路線をもう少し掘りたいなら、ここから始めるのが無難。
配信・視聴情報
| サービス | 配信 | 月額 | 無料期間 | 作品数 |
|---|---|---|---|---|
| ABEMAプレミアムイチオシ | × | ¥680〜(税込) | 無料あり | 1,000+ |
| Amazonプライムビデオ | — | ¥600(税込) | 30日間 | 1,700+ |
| クランクイン!ビデオ穴場 | × | ¥990〜(税込) | 最大1ヶ月 | 7,000+ |
| dアニメストア | × | ¥660(税込) | 31日間 | 7,200+ |
| U-NEXT | × | ¥2,189(税込) | 31日間 | 6,000+ |
| DMM TV | × | ¥550(税込) | 14日間 | 6,300+ |
| Netflix | — | ¥890〜(税込) | なし | 1,600+ |
| Hulu | — | ¥1,026(税込) | なし | 2,900+ |
| Disney+ | — | ¥1,250〜(税込) | なし | 500+ |
よくある質問
まとめ
『絶愛ー1989ー』は現在、主要な動画配信サービスでの配信は確認されていません。視聴にあたっては、中古DVD・Blu-rayや旧来のメディアを探す必要があります。90年代BL作品を掘り起こしたいコレクターにとっては、入手する価値のある一作です。
