※本ページはアフィリエイト広告を含みます。

ザスピリットオブワンダー – チャイナさんの憂鬱
| 放送年 | 1992年 |
|---|---|
| フォーマット | OVA |
| 話数 | 1話 |
| 原作 | 漫画 |
| 制作 | Ajiado |
ミス・チャイナという若き中国人女性がイギリスで食堂を経営している。ブレッケンリッジ博士とジムは上階に下宿している。しかし彼らは奇想天外な発明につぎ込むため家賃を払えず、ミス・チャイナは困っている。最新の発明は月への旅行を可能にするもの。誰もそれを信じないため、二人はそれを証明する方法を編み出す。
作品概要・あらすじ
あらすじ
19世紀末のイギリス。若き中国人女性ミス・チャイナは、こじんまりとした食堂を営みながら慎ましく暮らしている。2階に下宿する奇才の発明家ブレッケンリッジ博士と助手のジムは、突飛な発明に全財産をつぎ込むあまり、家賃もまともに払えない日々が続いている。そんな二人が完成させた最新発明は「月への旅行を可能にする装置」。誰一人信じてくれないなか、二人は実在を証明しようと奇想天外な手を打ち出していく。みどころ・魅力
① レトロSFと幻想的な19世紀イギリスの世界観
1992年制作ながら精緻に描かれた19世紀末ヴィクトリア朝の街並みと、荒唐無稽な発明装置のコントラストが見事。スチームパンクとも通じるクラシカルな美術設計が、ファンタジーとSFの境界線上に独特の雰囲気を作り出している。② ドタバタ喜劇と淡い感情が同居する人間関係
家賃を踏み倒されながらも博士たちを追い出せないミス・チャイナの複雑な心情が、コメディの裏側にじんわりと滲む。ラブコメとしての甘さを抑えながら、三者の距離感を丁寧に描いている点が本作の持ち味だ。③ 短編OVAならではの密度の高いストーリー展開
冗長な説明を省き、テンポよく展開するシナリオは短編OVAの強みを活かした構成。「信じてもらえない発明をどう証明するか」という一点に絞られたプロットが、最後まで飽きさせない完結した物語体験を提供している。キャスト・声優一覧







スタッフ
| 監督 | 本郷みつる |
|---|---|
| キャラクターデザイン | 柳田義明 |
| 音楽 | 田中公平 |
| 美術監督 | 小倉宏昌 |
| 音響監督 | 大熊昭 |
| ED | 日高 のり子「夢の扉」 |
関連作品
アニメ
書籍
感想・評価
最初に見たとき——第一印象と、見ることになったわけ
鶴田謙二の原作コミックの雰囲気が好きで、ずっと映像で見たいと思っていた。ただ配信は全滅、DVDも現在まともな入手ルートがないという状況で、手元に映像を確保するまでに時間がかかった作品だ。ようやく見た第一印象は「静かだな」。ドタバタコメディを想像していたら全然違って、音楽も演出も全体にひたすら穏やかで、イギリスの夕暮れみたいな色合いをしている。2回目に見たとき気づいたのは、タイトルの「憂鬱」が単なるキャラクターの感情を指しているんじゃなく、もっと構造的な何かだということだった。
夢を追う人の隣で現実を生きる、という孤独の話
ミス・チャイナが「憂鬱」な理由は、家賃が払えないからではない——少なくともそれだけじゃない。
ブレッケンリッジ博士とジムは月へ行こうとしている。下宿代を踏み倒しながら、誰にも信じてもらえない発明に全財産を注ぎ込んで、それでも目を輝かせている。彼らの夢は本物で、その熱量は疑いようがない。問題は、チャイナさんがその夢の「外側」にいることだ。
食堂を切り盛りして、帳簿をつけて、家賃の催促をして、地に足をつけて生活している彼女は、夢を追う人間たちをずっと近くで見ている。憧れているわけでもなく、軽蔑しているわけでもなく、ただ「一緒に行けない」という感覚だけが積み重なっていく。この構造は、ファンタジーやラブコメというジャンルに収まりきれない何かを持っている。
1992年という時代のOVAとして見ると、この作品の「静けさ」は意図的だと思う。当時のOVAが派手なアクションや過剰な感情表現で差別化する作品だらけだった中で、チャイナさんの憂鬱はひたすら抑制的だ。チャイナさんは叫ばないし、泣きもしない。ただ眉をひそめて、ため息をついて、それでも食堂を開ける。
日高のり子がこのキャラクターに与えているものが、実はこの作品の核心だと感じた。セリフの量は多くないのに、声のトーンひとつで「夢の外側にいる人間の体温」みたいなものを伝えてくる。感情を爆発させるシーンが少ないぶん、抑えた演技の密度が異常に高い。長年アニメを見続けてきた耳で聞くと、これは相当な仕事だとわかる。「夢を信じてあげられるか」ではなく「夢について行けない自分と、どう付き合うか」という話——この作品が描いているのはそこだと思う。
特に刺さったシーン
博士たちが月への旅行を「証明」しようとする終盤の展開で、チャイナさんが最終的にどう動くか——ここがこの作品の静かな山場だ。劇的な決断や感情の爆発ではなく、ある種の「諦め」と「受け入れ」が混ざったような行動を選ぶ。
日高のり子の声が、このシーンで一瞬だけ普段より柔らかくなる瞬間がある。セリフ自体は短い。でもその短いセリフに、これまで積み重ねてきた憂鬱の全部が入っている気がして、思わず映像を止めた。
2回目に見ると、序盤の食堂のシーンでチャイナさんがどこか遠くを見ている描写が伏線になっていることに気づく。あの視線の先に何があったのか、終盤を見た後で初めてわかる構造になっている。こういう「1回目は流してしまうが2回目で意味が変わる」設計が、短いOVAの中にきちんと仕込まれているのが好きだった。
この作品が刺さる人・合わない人
刺さる人
- 鶴田謙二の原作コミックを読んでいる人
- 90年代OVAの「静かな空気感」が好きな人
- 派手な展開より、キャラクターの息遣いで見る作品が好きな人
- 日高のり子の仕事を改めて聞き直したい人
- 夢を持つ人の隣に立つ人物の内面に共感できる人
合わない人
- テンポの速いコメディを期待している人(ラブコメ要素はかなり薄め)
- SFやファンタジー設定をメインで楽しみたい人(雰囲気重視で設定の掘り下げはさらっとしている)
- 配信で気軽に見たい人(現時点では入手ルートがほぼない)
- 感情が爆発するカタルシス系の展開を求めている人
次に見るなら
「宇宙を目指す人間と、地上に残る現実」という構図に近い感触があるなら、プラネテス(2003年)を。宇宙開発の夢と現実の摩擦を、もう少し現代的な解像度で描いている。チャイナさんの視点で見ると、谷口キャラとの重なりが見えてくる。
「静かな時代物の空気感」という方向で行くなら耳をすませば(1995年)。夢を追う人間の横で自分の生き方を考えるキャラクターの話として読むと、チャイナさんとの共鳴点がある。静けさの中に溜まっていくものの質が似ている。
同時代の小品系OVAとして一本挙げるなら王立宇宙軍 オネアミスの翼(1987年)。月を目指す男たちの熱量と、それを外側から見る眼差しという構造が、チャイナさんの憂鬱と対になるような作品だ。こちらは夢の「内側」から描いているぶん、チャイナさんの位置がより際立って見える。
配信・視聴情報
| サービス | 配信 | 月額 | 無料期間 | 作品数 |
|---|---|---|---|---|
| ABEMAプレミアムイチオシ | × | ¥680〜(税込) | 無料あり | 1,000+ |
| Amazonプライムビデオ | × | ¥600(税込) | 30日間 | 1,700+ |
| クランクイン!ビデオ穴場 | × | ¥990〜(税込) | 最大1ヶ月 | 7,000+ |
| dアニメストア | × | ¥660(税込) | 31日間 | 7,200+ |
| U-NEXT | × | ¥2,189(税込) | 31日間 | 6,000+ |
| DMM TV | × | ¥550(税込) | 14日間 | 6,300+ |
| Netflix | × | ¥890〜(税込) | なし | 1,600+ |
| Hulu | × | ¥1,026(税込) | なし | 2,900+ |
| Disney+ | × | ¥1,250〜(税込) | なし | 500+ |
よくある質問
まとめ
現時点で本作を配信している公式サービスは確認されていません。視聴にはDVDなどのパッケージメディアを入手する必要があります。中古市場やオークションサイトを通じて入手できる場合がありますので、ファンの方はそちらをご確認ください。


