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サイダーのように言葉が湧き上がる
| 放送年 | 2021年 |
|---|---|
| フォーマット | 劇場版 |
| 話数 | 1話 |
| 原作 | オリジナル |
| 制作 | Signal.MD |
田舎の町のショッピングモールでマスク姿の美少女スマイルと出会った、俳句しか話せない内気な少年チェリー。スマイルは矯正器具で覆われた大きな前歯を隠すためマスクをしていた。二人は南風が吹く中で距離を縮めていく。やがて二人はある大切なことに気付く。
作品概要・あらすじ
あらすじ
田舎町のショッピングモールで出会った、俳句しか話せない内気な少年・チェリーと、矯正器具で大きな前歯を隠すためマスクをかけている美少女・スマイル。言葉を発するのが苦手なふたりは、音楽と俳句という各々の表現を通じてゆっくりと距離を縮めていく。モールに集まる個性豊かな人々に囲まれながら、夏の南風のなかでふたりが気づいていくのは、伝えたいという気持ちの大切さだった。
みどころ・魅力
① 言葉と音楽が交差するポップな世界観
俳句とヒップホップという一見かけ離れた表現が自然に溶け合い、映像・音楽・テキストが一体となった独自のスタイルで展開する。YOASOBIのikuraが歌うエンディング曲をはじめ、サウンドトラック全体が作品の空気感を彩り、映像と音が共鳴する体験は劇場版ならではの没入感がある。
② 口下手なふたりがもたらす繊細なラブコメ
ヒロインがマスクで表情を隠し、主人公は俳句でしか気持ちを伝えられない――そんなもどかしさの積み重ねが青春ラブコメとして高い純度を生む。言葉にできないからこそ伝わる感情の機微が丁寧に描かれており、恋愛描写が苦手な視聴者にも受け入れやすい温度感になっている。
③ 90分に凝縮された夏の質感
舞台となるショッピングモールと田舎町の夏景色が、鮮やかな色彩設計と繊細な光の演出で活き活きと描かれる。長編作品でありながら無駄なシーンがなく、夏のワンシーズンを切り取ったような瑞々しい余韻が最後まで持続する。短い上映時間ながら満足感が高い作品だ。
キャスト・声優一覧
























スタッフ
| 監督 | 石黒恭平 |
|---|---|
| キャラクターデザイン | 愛敬由紀子 |
| 音楽 | 牛尾憲輔 |
| 美術監督 | 中村千恵子 |
| 音響監督 | 明田川仁 |
| ED | ネヴァーヤングビーチ「サイダーのように言葉がわきあがる」 |
トレーラー・MV
▲ 公式トレーラー(公式YouTube)
OP・ED
ED
感想・評価
最初に見たとき——第一印象と、見ることになったわけ
タイトルに引っ張られて見た、というのが正直なところ。「サイダーのように言葉が湧き上がる」って、声に出して読みたい日本語の最有力候補みたいな響きで、内容を何も知らないまま映画館に入った記憶がある。ショッピングモールで俳句しか話せない少年とマスクの女の子が出会う——聞いた瞬間は「ちょっと設定が凝りすぎじゃないか」と思った。俳句少年って。
でも実際に見てみると、その「設定過多感」が気にならなくなる時点が序盤にくる。田舎のショッピングモールの空気感が妙に正確で、ああ、この空気はどこかで吸ったことがある、という感触が先に来る。2021年の劇場作品で、夏っぽい色調と音楽が組み合わさると、劇場のスクリーンで見る意味がちゃんとある絵だった。坂本真綾さんが声を当てたまりあ、という人物がどんな立ち位置かを確認するのに少し時間がかかったが、それも含めて「何かを見落としてる気がする」という感覚のまま終わった。悪い意味ではなく。
言葉にできないから俳句を使う——「伝わらない」を抱えたままでいることの話
この映画を単純に「シャイな二人が恋する話」と読むと、どこかで引っかかりが残る。チェリーが俳句しか喋れない理由も、スマイルがマスクで顔を隠す理由も、どちらも「自分の弱いところを見せたくない」という点では同じだ。でも、映画が描いているのはそこからもう一歩先で——弱いところを隠すために使っているものが、逆に相手への「伝わり方」になっていく、という逆説的な構造になっている。
俳句という形式は、本来は意味を凝縮して省略する詩だ。チェリーが俳句でしか話せないのは、言葉を出しすぎることへの怖さがあるからで、でも俳句はその省略の隙間に読む側の想像が入り込む余地を作る。スマイルのマスクも同じで、顔を隠すための道具が、「なぜ隠しているのか」という問いを生んで、チェリーとの距離を縮める入り口になる。隠蔽が開示に転化する、という構造がこの映画の骨格だと思う。
タイトルに戻ると——サイダーの泡は、炭酸として閉じ込められていたものが外に出てくるイメージだ。言葉も同じで、出てこないのではなく「出てくる前の状態で溜まっている」という感覚がこの映画にはある。山寺宏一さんが演じたフジヤマという人物が、チェリーとスマイルの間に差し挟まれるとき、その「溜まった言葉」が外に向かうための触媒として機能していた。こういう脇役の使い方は、地味だけれど上手い。
井上喜久子さんの藤山つばき、伊藤静さんのナミ——こういったキャストが揃っていると、個々の台詞の重量が変わる。特に伊藤静さんの声は、感情を乗せすぎないところに独自の深みがあって、キャラクターの「言わないことの多さ」を表現するのに合っていた。神谷浩史さんの紘一も、序盤は抑えた芝居をしているぶん、後半の変化がきちんと聞こえてくる作りになっている。
特に刺さったシーン
終盤、スマイルがマスクを外す前後の一連の流れ。ここだけで言うと「予想通り」の展開ではあるのだが、それまでの積み重ねがあるから、「知ってた」よりも「ようやく来た」という感覚のほうが強く来る。チェリーが俳句で何かを伝えようとするとき、受け取る側のスマイルの目線の演技が細かくて、声だけでなく間の取り方で感情が読める場面だった。
もう一つ、ショッピングモールの屋上か外の開けた場所でのやり取り——具体的な台詞より、音楽と空間の広さが合わさったときの体感がある。ああいう絵は劇場のスクリーンサイズで見ないと半分しか機能しない。音響も含めて、「夏の空気が室内に入ってくる」感じが映画館だと物理的に来る。坂本真綾さんのまりあが絡む場面は、声質の柔らかさがその空気に溶けていて、気づくと音楽か声かの区別が曖昧になっていた。
読んで見たくなったら——『サイダーのように言葉が湧き上がる』はNetflixで視聴できる。
この作品が刺さる人・合わない人
こういう人に向いている:
- 夏の田舎、ショッピングモール、若干古びた商業施設——そういうロケーションに何か感じる人
- 会話が少ない・テンポが遅いラブコメに慣れている人。説明されるより「漂う」映画が好きな人
- 声優の演技を細かく聞いている人。キャストを見ただけで「観てみようか」と思える人
- 俳句や短歌など、省略の詩形に興味がある人
合わない可能性が高い:
- ラブコメに「テンポのよい掛け合い」を期待している人。この映画は静かで、会話の密度が低い
- キャラクターの内面が台詞で説明される映画に慣れている人。行間を読む作りなので、「何が言いたいのかよくわからなかった」で終わることがある
- 90分以内にきれいに完結することへの期待が強い人。見終わったあとに「で、どうなったの」と思うかもしれない
次に見るなら
言の葉の庭——雨の日の公園、言葉と感情の噛み合わなさ、短い尺に詰め込まれた空気感。「語られないものが多い映画」が好きなら、こちらも同じ呼吸で見られる。新海誠作品の中でもっとも「説明しない」映画かもしれない。
夏へのトンネル、さよならの出口——2022年の劇場作品で、こちらも「物を交換すると願いが叶う」という設定を縦糸に、二人の距離が縮まる構造。サイダーと同様に「ギミックが恋愛の触媒になる」作りで、テンポも近い。
リズと青い鳥——こちらは吹奏楽部を舞台にした山田尚子監督作品で、「言葉でなく音と動きで感情を語る」映画。サイダーの俳句が果たしている役割を、こちらは音楽とキャラクターの身体の動きで代替している。静かな映画が続いても大丈夫な人向け。
配信・視聴情報
| サービス | 配信 | 月額 | 無料期間 | 作品数 |
|---|---|---|---|---|
| ABEMAプレミアムイチオシ | × | ¥680〜(税込) | 無料あり | 1,000+ |
| Amazonプライムビデオ | × | ¥600(税込) | 30日間 | 1,700+ |
| クランクイン!ビデオ穴場 | × | ¥990〜(税込) | 最大1ヶ月 | 7,000+ |
| dアニメストア | × | ¥660(税込) | 31日間 | 7,200+ |
| U-NEXT | × | ¥2,189(税込) | 31日間 | 6,000+ |
| DMM TV | × | ¥550(税込) | 14日間 | 6,300+ |
| Netflix | ¥890〜(税込) | なし | 1,600+ | |
| Hulu | × | ¥1,026(税込) | なし | 2,900+ |
| Disney+ | × | ¥1,250〜(税込) | なし | 500+ |
『サイダーのように言葉が湧き上がる』はNetflixで配信中のため、手軽に視聴することができます。90分という短い尺でまとまりよく完結する作品なので、映画を観る時間が取りにくい方にもおすすめです。夏のひとときに、言葉と音楽が弾けるこの青春ストーリーをぜひ楽しんでみてください。
よくある質問
まとめ
『サイダーのように言葉が湧き上がる』はNetflixで配信中のため、手軽に視聴することができます。90分という短い尺でまとまりよく完結する作品なので、映画を観る時間が取りにくい方にもおすすめです。夏のひとときに、言葉と音楽が弾けるこの青春ストーリーをぜひ楽しんでみてください。
